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誰かの為に命を賭ける時が来るとは自分でも思わなかった。誰かの為に自分が動く日が来るとは思わなかった。ルフィには全てを賭ける価値がある。絶望を塗り替えるのはいつだって麦わら帽子を被った男だ。

激しい憎悪がドフラミンゴの肌を刺す。


目玉が飛び出しそうな程に目を見開いて、瞳孔をこれでもかとかっ開く。憎悪こそ巨大な力になるとドフラミンゴは口角を上げた。ギリギリと奥歯を噛み締めるAにドフラミンゴは4年前を思い出す。待ち望んだそれが姿を表した時、ドフラミンゴはさらに高揚するだろう。


理性も知性も何もかもが消え失せたAには殺意しか残っていない。その記憶が蘇る。当時12歳だった少女の禍々しい殺気を思い出す。











誰もいなくなったひまわり畑でローは小さく皮肉めいた言葉を呟いた。眼下にはドフラミンゴとAの姿。ここまで届く殺気と胸を圧迫させられる様な圧力。


「バカが…」











遡ること数分前。ひまわり畑をザァー、という風が嫌に音を立てて通り過ぎた。Aの口から出たとんでもない頼み事にローは顔色を変える。



「正気か!?がらんどう屋!!」
「正気だよ。」



荒らげた声にむせるローにAは至って冷静に答える。静かすぎて、冷静すぎてローの中の恐怖は掻き立てられる。ここで、ローが何を喚き散らそうとも、どんな言葉を駆使して飾りつけようともAが意見を止めることはない。少女は頑固なのだ。人の言う事を従順に聞く様な奴ではない。



「私が"がらんどう"とやらになって、誰彼構わず攻撃して、トラ男が危険だと判断した場合…」



周りの音がまるで聞こえなくなる。喧騒は確かにあるはずだ。耳をつんざく悲鳴もあるはずだ。だって数秒前まで聞こえていたのだから。それら全てが消えたようにローの耳にはAの声しか入らない。







「そん時は迷わず私を殺せ。」

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作者名:チョコレート | 作成日時:2021年12月11日 18時

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