闇に焦がれる。【ONEPIECE】 (ページ28)

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鳥カゴが消えていない事に気付いたルフィがもう一発打ち込もうとした矢先に限界を迎えた。今のルフィは覇気の酷使により、まともに戦う事が出来ない。何度と立ち上がろうとするルフィの身体はその体力すらも残っていなかった。

そこに現れたのはギャッツで、何か手伝えないかと問いかける彼にルフィは力なく答えた。

｢10分欲しい…バウンドマンをやったらその後10分覇気を使えなくなる…おれは逃げ回るけど、その間あいつが何をするか分からねェ…覇気さえ戻れば…あと一撃で必ずカタをつけられる…！」

｢あいつの支配はそれで終わるんだな…！？10分で…おれ達を鳥カゴから出してくれるんだな！？｣

それに力強く頷けば新たな声がその場に加わった。走って来たであろう荒い息を繰り返してAがやって来た。

｢なら、その10分は任せろ。｣

｢A…！｣

｢10分間、私がドフラミンゴを止める。お前はルフィを頼んだ。｣

2人に背を向け柄に手をかけるAにルフィは不安を拭いきれなかった。ローの言葉が蘇り不安は募っていく。

｢A…お前何する気だ…！？｣

ルフィの質問にAは答えをくれなかった。確実に近付いてくるドフラミンゴに備える。Aは背を向けたまま口を開いた。

｢私に出来るのはルフィに繋ぐ事。お前で勝てないならこの国にいる全員が死ぬ。……頼むぞ、船長。｣

呼吸が一瞬止まった感覚に陥った。何をするかは分からないが、爆発寸前を迎えた不安が警報と形を変えてルフィの脳内で鳴り響く。止めろと。Aを止めろと鳴り響く。

｢行け。｣

Aの一言でルフィを背負ったギャッツが走り出す。遠くなって行くAの姿をルフィは振り返った。Aは一切振り返る事はしなかった。