闇に焦がれる。【ONEPIECE】 (ページ17)

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｢こいつ…痛覚あんのか…！？｣

スートの間は赤に染まる。ドフラミンゴは4年前の興奮を思い出した。だが、まだだ。まだがらんどうは出てこない。右足を失おうとも、左腕を失おうとも、片目が潰れようとも、Aの動きが鈍る事はない。

赤の踊る空間で耳を刺す泣き声がした。その声の主はこの場にいる誰のものでもない。部屋に置かれたトレーボルの電伝虫である。シュガーが気絶した事を慌ててドフラミンゴに報告する声が聞こえる。シュガーが気絶したという事は、つまりこの国のおもちゃ達が人間に戻っていく事を意味していた。おもちゃにされたのは国民だけではない。

動物、役人、海兵、海賊と様々だ。それらが一度に一気に人間に戻るとなればドレスローザは大混乱を招く。鳴り止まぬ電伝虫に両者の動きが止まる。荒い息を繰り返して、何事だと瞳孔の開いた目を動かして現状把握に力を入れる。

｢A！！！｣

ガっと掴まれた肩。バランスを崩して咄嗟に持ち堪えようとするも片足では不可能で、鈍い音を立てて尻餅を着いた。鬼気迫る様な顔を近付けるルフィにAは目を丸くした。

｢お前！無茶ばっかしやがって！！｣
｢それ、ルフィにだけには言われたくなかった。｣

麦わらの一味で誰よりも無茶をするのは目の前の男だろう。それに、今まで無茶をした時がいつあった。2年前はほとんど我関せずの態度であったし、その後も無茶という無茶をした記憶が無い。

先程までの鬼神の様なAはどこにもいない。いつも通りのAである事をその目でしかと確認したルフィは荒い鼻息を出して立ち上がった。そしてそのまま、ヴィオラの用意してくれた鍵でローの手錠を外すが、自分も能力者なので手錠に触れられず苦戦しているのが視界の端に映った。