闇に焦がれる。【ONEPIECE】 (ページ12)

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｢あれ？Aは？｣

さっきまで隣にいたAがいない事に気付いたルフィにつられてヴィオラとおもちゃの兵隊も辺りを見渡したが、少女の姿は見当たらない。Aの気配を辿って見つけた先を見てルフィは目を見開いた。

何よりも珍しかった。

基本的に計画性に欠ける麦わらの一味の中でもAは落ち着いて物事を見極められる少女だ。冷静さも確実さもある。無鉄砲に飛び込む様な奴ではないのだ。だが、ルフィの目に映るAは獣が野生に帰った様だった。理性を捨て、本能で動いているように見えた。

｢あの子…一体何を…！？｣
｢あんな少女がドフラミンゴに敵う訳がない。無謀だ！｣

その様子を見たヴィオラと兵隊も顔色を変えた。だが
あそこに自分達が飛び込む訳にもいかずに、その様子を不安気な顔で見ている事しか出来なかった。

ルフィはAのその目にジャヤで見たAと重なった。息をするように、取り憑かれたように男の首を跳ねる姿と重なって見えた。不気味なくらいに静かで禍々しい殺気を感じた。万物を取り込まんばかりの黒を見た。それをヴィオラと兵隊も感じていた。あの少女は何者だと冷や汗を流したが、それを口にする事はなかった。いや、言葉を音に変えることが出来なかった。

｢A……！！｣

重々しく名前を呼んでもルフィの声はAには届いていない。