闇に焦がれる。【ONEPIECE】 (ページ11)

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ユーリはAに依存していた。

殺し屋となって、無理やりにでも自分を正当化しようとしてる自分に嫌気もさす頃にユーリはAと会ったのだ。たった6歳の少女とは思えぬAにユーリは何とも言えない哀しみを感じた。ふてぶてしくもAが自分に懐いてくれている事をユーリは感じていた。

この世の理不尽を目の当たりにして、この世の悪を一通り見て、同年代の誰よりもこの世の厳しさを知って現実のみを淡々と見ている子供だった。

Aはユーリを善人だと言った事があった。そんな高尚なものは自分とは無縁のものだと思っていた。Aが嘘を吐くような人間ではない事を、ユーリはある程度の付き合いを経て知った。だから信用できたし信頼もできた。ユーリが腹割って話せる唯一だったのだ。

口にはしないが、Aはユーリを肯定してくれた。それがユーリはこの上なく嬉しかったのだ。無愛想だが、妹ができたみたいで色のない日常がカラフルになった。

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Aはユーリに依存していた。

悪の集約みたいな人間を傍に置いた。笑いかけて声をかけて力を教えた。第一印象は決して良くなかったが、当時Aが誰よりも懐いていたのはユーリだった。むしろ、人との関係を嫌うAが唯一まともに付き合った人間である。

紛うことなき善人。

馬鹿正直で、誰よりも強くて、こちらが呆れ返るくらいの人間だった。ユーリには野望があった。その野望とやらを話した事があった。信じ難い話だが、ユーリが嘘を付けるほど器用な奴ではない事をAは知っていた。

数年後の未来で、20年前から時を越えてやって来た仲間と共にカイドウを討ち取りある男の意志を継ぐのだと。やけに澄んだ瞳の奥に業火の如く燃え上がる覚悟と決意を宿していた。死ぬべき人間ではなかった。ましてや、こんな人間を生かす為に死ぬべきべきではなかった。

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｢A、妙な事考えてんなよ？｣

ゾロの言葉に多少なりともドキッとしたのは、それが図星だからだろう。ゾロだって何の根拠のない台詞だった。この男があやふやなままに物事を話すなんて珍しいが、一度見た黒を忘れられないのだ。予感だとか勘だとか、そんなものを信じる質ではないが、ゾロの思うそれがただの勘とも思えぬのだった。

ルフィ達がスートの間に着いた時、ゾロのそれは的中する事となる。