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ウォーターセブンに着いた一行は船大工を求めていた。今までの荒い航海と戦った仲間を直す為である。ロングリングロングランドからAは以前にも増して一味との接触を嫌った。ここから先には入ってくるな、という一本の境界線が何重にも引かれた。
隔てていた壁はより一層分厚く、高く隔てられた。その事に悲しみと寂しさを感じながらも、強く拒絶する少女に近付く事は何人も許されはしなかった。
船尾や部屋を居場所としていたAの居場所はいつしかマストの上に限られた。狭い船の中でも最も一味と遠い場所を少女は選んだ。ツギハギだらけのマストが彼らと少女の物理的距離だった。
ただでさえ少なかった睡眠はさらに短くなり、寝ない日も増えた。前までは時間をずらして取っていた食事も食べなくなった。その事がサンジはひどく悲しくなった。少女が食べなくともサンジの作った料理は誰かの胃袋へと入っていく。サンジがこの船のコックを務める限り、食材がゴミ箱へと向かう事はない。
また、少女が口にしないだろうと思っていても少女の分の料理を作らない日も無かった。それは料理人としてのポリシーかプライドか。少女が今日は食べるかもしれない、という期待の表れか。はたまたその両方か。
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ロビンもロビンで精神が安定しているとは言いがたかった。青キジとの接触で余裕がなくなったのは確かだ。彼女もまた闇を抱えている。振り払えない巨大な敵が彼女にはいる。気の置けない仲間達に矛先が向くと思ったら怖くて堪らなくなった。
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いっその事死ねばいいと思った。何ならこの手で殺してやろうかと思った。近くに居る光属性を見ていられなくなった。いや、むしろこっちが死んでやろうかとすら考えた。
溢れ返りそうな何かに必死に蓋をして力の限り押さえ込んでいたモノは、たった一人の男と接触しただけで大爆発を引き起こした。その男が悪人だとは思わない。だが、善人だとも思わない。直接何をされた訳でもないが、手を差し伸べてくれなかった男は他の連中と同等だった。
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針一本で壊れる脆さを持っていた。誰もが手に針を持たぬように、慎重に揺れる船にまどろむ。
平均台の上をギリギリのバランスで歩く麦わらの一味はウォーターセブンで分裂した。
分裂の予兆はあっただろう。しかし、その小さなヒビ割れを誰もが知らぬふりをした。気の所為であって欲しかった。
手に針を持って刺したのは誰なのか。恐らく誰も答えられやしない。
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チョコレート(プロフ) - きゃーぽんさん» ありがとうございます！面白いと思っていただけるよう、これからも頑張っていきます！ (2021年10月18日 1時) (
レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白くて一気に読みました！これかも頑張ってください！ (2021年10月18日 1時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 水無月碧音さん» ありがとうございます！！まだまだ未熟者ですが、楽しんでいただけているようで私も嬉しいです！ (2021年10月16日 4時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - とっても面白いです！繊細な文章で、読んでいてとてもワクワクします！応援してます、頑張ってください!! (2021年10月15日 21時) (レス) @page17 id: 8595db9a5d (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 星猫さん» んー、結構色んなアニメ知ってると思います！ (2021年10月14日 16時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チョコレート | 作成日時：2021年10月12日 19時
