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｢お前、名前はなんつーんだよ？｣
暗闇に点々と星々が輝く。それを視界に入れていれば酒瓶を手にしたゾロが尋ねた。しかし答える声はない。またか、とゾロはその言葉を溜息へと姿を変えて口から吐き出した。
｢この船に置いてやってんだ。名前くらい教えろ。｣
少女はゾロを一瞥して再び上へと目を動かした。やはり教える気はないらしい。ならばこれ以上、少女に構っても時間の無駄だ。こんな年端もない少女に機嫌を害されてはせっかくの酒が不味くなる。諦めて別の場所で酒を飲もうと一歩歩き出した時、ゾロの耳は少女の声を捉えた。
｢好きに呼んだらいいだろ。｣
｢は？｣
ゾロの質問の答えにはなっていないが、少女自身はその質問に答えたつもりだった。もう少し粘ってみる価値もあるのかもしれないと考えを改めたゾロは少女の隣に戻ってどういう意味なのかと問い詰める。
少女は面倒臭そうに眉をひそめては、再びその口を開いた。少女の口からでたそれは、たった14歳の少女が口にするにはあまりに悲しいものだった。
1人にしろ、と言わんばかりに少女はゾロから離れていった。なんだってルフィはこんなガキを連れて来たのか。結局、酒を飲む気分になれずにゾロは眠りについた。
･
｢A！！｣
翌日、朝イチに少女の元にやって来たのはルフィだ。少女の顔を自分に向かせて、その日の第一声はそれだった。これには少女も首を傾げた。
｢お前は今日からAだ！｣
｢は？｣
他のクルーもポカンと口を開けている。一体我らが船長はどうしてしまったのだと。いや、こんな事は今に始まった事でないか。
昨夜、少女がゾロに告げたのは｢自分に名はない｣という事だった。名前は誰もが受けることの出来る愛情のひとつ。それが少女には無いのだ。そんなの悲しいにも程がある。さすがのゾロもそう思ったらしい。
何を映す訳でもないその目がそれを助長させた。
それをルフィに話せば彼は暫く考え込み、そして、それから何か思い付いたかのように立ち上がって冒頭に至るのだ。
この日、少女は名を得た。
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チョコレート(プロフ) - きゃーぽんさん» ありがとうございます！面白いと思っていただけるよう、これからも頑張っていきます！ (2021年10月18日 1時) (
レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白くて一気に読みました！これかも頑張ってください！ (2021年10月18日 1時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 水無月碧音さん» ありがとうございます！！まだまだ未熟者ですが、楽しんでいただけているようで私も嬉しいです！ (2021年10月16日 4時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - とっても面白いです！繊細な文章で、読んでいてとてもワクワクします！応援してます、頑張ってください!! (2021年10月15日 21時) (レス) @page17 id: 8595db9a5d (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 星猫さん» んー、結構色んなアニメ知ってると思います！ (2021年10月14日 16時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チョコレート | 作成日時：2021年10月12日 19時
