検索窓
今日:6 hit、昨日:29 hit、合計:261,760 hit

11 ページ11

は、なんて間抜けな誰かの声がする。周りが状況を整理するよりも先にAが動いた。また、仲間が殺された。



「お前らドフラミンゴんとこのだろ?あの男は今どこにいる?」



おぞましく深淵なその瞳とぶつかった男がわなわなと恐ろしさに震え上がる。その男をAはまた殺した。戦闘能力がない?自分達の侮った目の前の少女は確かに"殺し屋"の目をしていた。誰にも気付かれずに刀を抜き、相手に警戒をされぬように演じていたのだ。

コロコロと足元に転がってきたそれを見て寒気が全身に走る。この世の悪を全て注ぎ込んだ少女がただただ恐ろしかった。また、こんな少女を船に置く麦わらも恐ろしい奴だと思った。



「じ、嬢ちゃん…あの人の居場所を知って……」



血飛沫が上がる。「あの男の居場所を知ってどうする?」という質問をしきる前に少女の手によって殺された。



「質問してんのはこっち。答えろ。ドフラミンゴはどこにいる?」



その目にはこの世の汚れしか映っていない。激しい憎悪に取り憑かれたようだった。どこにいるかなんて下っ端が知っているはずもない。知っていたところでこんな少女一人の為にこんな所まで来やしないだろう。一人、また一人と仲間が殺されるのを黙って見ている事しかできない。

金縛りにでもあったかのように体が動かない。



「っ……サ、サーキース……」



真っ白な毛皮のコートを自身の血で真っ赤に染め上げる。気付けばこの酒場はベラミーただ一人となった。少し前まで酒盛りで賑わいを見せていたこの店は不気味なくらいに静まり返り、赤黒く染め上がる。鼻を刺激する鉄の匂いが不快で思わず鼻を抑える。

殺される。

自分も仲間たちのように、この少女に殺されるのだと己の死を悟った。



少女はここでもドフラミンゴの情報を得られずに溜息を吐いて刀を構える。ゆったりとベラミーの喉に刀を当て、思いっ切り引く。


__はずだった。


Aの握る刀を掴んだのは麦わらの男であった。鋼色の刃は赤黒く、誰の血で濡れているかはもう分かりはしない。その刃に目を向けてからルフィは無表情でAを見下ろした。


ゆっくりと刀をAの手から抜き、律儀にも背中に背負われた鞘へと収めた。怒りでも悲しみでもないルフィをただ見つめていた。鈍い音と共にベラミーは地面に伏せる。盗まれた金塊とAの手をしっかりと握って走り出した。

12→←10



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (130 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
378人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

チョコレート(プロフ) - きゃーぽんさん» ありがとうございます!面白いと思っていただけるよう、これからも頑張っていきます! (2021年10月18日 1時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白くて一気に読みました!これかも頑張ってください! (2021年10月18日 1時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 水無月碧音さん» ありがとうございます!!まだまだ未熟者ですが、楽しんでいただけているようで私も嬉しいです! (2021年10月16日 4時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - とっても面白いです!繊細な文章で、読んでいてとてもワクワクします!応援してます、頑張ってください!! (2021年10月15日 21時) (レス) @page17 id: 8595db9a5d (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 星猫さん» んー、結構色んなアニメ知ってると思います! (2021年10月14日 16時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:チョコレート | 作成日時:2021年10月12日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。