1 ページ1
船長であるルフィに連れられこの船にやって来た少女の第一印象は｢ダーティーな奴｣だった。死んだ目に死んだ表情筋。｢生きた死人｣なんて矛盾したその言葉が良く似合う。彼女ほど死んだ目をした人間はいない事だろう。年齢だけを告げた彼女は居候としてこの船の厄介になると告げた。
突然の事に｢はぁ？｣と眉をひそめ、口をあんぐりと開け、そして最後に溜息をついた。そんなクルーにルフィは｢新しい仲間だ！｣と胸を張る。得体の知れない彼女に各々思う事はあるだろう。だが、それを口にしたところで船長の考えが変わる事はない。それがあったならば、この船に乗船しない者も何人かいた事だろう。
ルフィが突飛な事を言うのは日常だし、それに一々突っ込んでいてはこちらの身が持たない。
だが、少し待て。ここまでの流れで何か食い違ってないか？と首を傾げたのはウソップだった。少女がこの船に来てからの事を一つ一つ思い返す。
｢ルフィ、そいつ"居候"つってたぞ。｣
｢こいつがなんて言おうと、おれは仲間にするって決めたんだ！｣
｢ふざけんな。あくまで居候だっつってんだろ。｣
大方、ルフィに無理やり連れてこられたのだろう。クルーは少女に同情の眼差しを向けた。
･
少女はお世辞にも明るい、とは言えない。ネガティブかつダーティー。クレイジーかつクレイジーである。一味とは最小限の接触しかしてこない。少女が一味に好意的ではないのはすぐに分かる。
だいたい、どういう経緯でこの船の居候となったのかすらも分からない。聞いても答えてはくれない。面倒見の良いナミやウソップ、チョッパーが話しかけても軽く交わされるだけ。人の心を掴むことに長けているビビすらも少女相手に沈没した。
｢嫌いだ｣｢話しかけんな｣面向かって言われた訳ではないが、少女がそう訴えかけているのは肌にひしひしと伝わる。
その間接的な少女の拒絶は彼らを惑わせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 379人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チョコレート(プロフ) - きゃーぽんさん» ありがとうございます！面白いと思っていただけるよう、これからも頑張っていきます！ (2021年10月18日 1時) (
レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白くて一気に読みました！これかも頑張ってください！ (2021年10月18日 1時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 水無月碧音さん» ありがとうございます！！まだまだ未熟者ですが、楽しんでいただけているようで私も嬉しいです！ (2021年10月16日 4時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - とっても面白いです！繊細な文章で、読んでいてとてもワクワクします！応援してます、頑張ってください!! (2021年10月15日 21時) (レス) @page17 id: 8595db9a5d (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 星猫さん» んー、結構色んなアニメ知ってると思います！ (2021年10月14日 16時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チョコレート | 作成日時：2021年10月12日 19時
