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｢どこかの神話の話。"
｢イカロスの翼｣という有名な神話。ボンヤリとした記憶しかないが、確か鳥の羽を蝋で固めて作られた翼を背にした2人の親子。｢太陽に近付きすぎるな｣という忠告を受けたにも関わらず飛ぶ事に夢中になった男は太陽の高みにまで浮上していた。
あまりにも太陽に近付き過ぎてしまったため、太陽の熱で蝋が溶けて翼がもげ、そのまま墜落して深い深い海の底へと沈んでいった。
｢その神話が何か関係あるのか？｣
太陽は神の領域。私が"英雄"だなんて烏滸がましいが、私を"英雄"と例えたら"太陽"は麦わらの一味。彼らに近付けば少女は今よりも更に深い暗闇へと墜ちていくだろう。人には"住む世界"があるのだ。一般人が海賊に関わらない様に、麦わらの一味が関係の無い人までを巻き込まぬ様にするのと同じ。
少女もまた住む世界の違う麦わらの一味との距離を考えていた。己の欲するがままに追い求めれば、その神の領域に踏み込んでしまう。
少女は己の欲求と領域との距離感を上手く保てる程大人ではない。ならば何も求めず、何も欲する事なく、己を空にしてしまえばいい。
踏み込んでしまえば、その英雄同様に翼をもがれる。
しかし、がらんどうの少女からこれ以上何を奪えようか。
｢ひねくれた考えをするお嬢さんだな。｣
少女は自分がひねくれている事を自覚している。歪んだ思考を持っている事を知っている。そうでもしないと少女は生きていけないのだ。それが、14年というこれまでの短い人生で学び身に付けた生き方であった。
｢お嬢さんにはまだ沢山の時間がある。なに、焦る必要は全くない。のんびり気ままにいきなさい。若者の一番の財産は"時間"。お嬢さんはまだまだ知識も経験も未熟だが、我輩より豊富に持っているもの、それが"時間"なのだ。｣
穏やかに笑う隣の老人に眉を寄せずにはいられなかった。麦わらのルフィにあれよあれよという間に小さな船に乗せられてからというもの、私の周りはどうしてこうも善人が多いのか。
｢我輩は、お嬢さんに物質的な豊かさよりも、心の豊かさを持って欲しい。そして知って欲しい。人と繋がる事がこんなにも温かいものなのだと。欲望の塊でいなさい。純粋とは欲望と隣り合わせでいる。欲望への葛藤など捨ててしまえばいいさ。｣
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チョコレート(プロフ) - きゃーぽんさん» ありがとうございます！面白いと思っていただけるよう、これからも頑張っていきます！ (2021年10月18日 1時) (
レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白くて一気に読みました！これかも頑張ってください！ (2021年10月18日 1時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 水無月碧音さん» ありがとうございます！！まだまだ未熟者ですが、楽しんでいただけているようで私も嬉しいです！ (2021年10月16日 4時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - とっても面白いです！繊細な文章で、読んでいてとてもワクワクします！応援してます、頑張ってください!! (2021年10月15日 21時) (レス) @page17 id: 8595db9a5d (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 星猫さん» んー、結構色んなアニメ知ってると思います！ (2021年10月14日 16時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チョコレート | 作成日時：2021年10月12日 19時
