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船に戻る頃には夜は空けていた。ナミに｢遅い！｣と怒鳴られたルフィは｢悪ぃ！｣と大して悪びれる素振りも見せずに甲板へ着地する。
珍しく疲労感のあるAとルフィの手にあるヘラクレスを見て、一味は何があったのかを悟ったのだった。
手に入れたヘラクレスをチョッパーに見せ付けてからルフィは一味を見渡して言い放つ。
｢いいか！Aがなんて言おうがAはおれ達の仲間だ！！そんで、Aの事守ってやってくれ！｣
頭は下げなかった。毅然と頭を上げ、トレードマークの麦わら帽子を抑え、純新無垢な笑みを浮かべてのルフィの宣言に反対の言葉はなかった。
｢何よ、今更。そんなの分かってるわよ！｣
｢ルフィに言われるまでもなくレディは守るべき存在だ！｣
｢言っとくがなぁ、A！ルフィに勧誘されたら終わりだぞ？｣
｢おれ、Aの事大好きだぞっ｣
｢ふふ、随分と気に入られてるわね。｣
そんなクルーの言葉を聞いて、ゾロは深く長い溜息をつき｢……分かったよ｣と頭をガシガシ掻いた。
･
ゾロはAを信用している訳ではない。むしろ不審人物として疑っているだろう。ロビンに向ける疑惑ともまた違う。
腹の中に何かを隠したロビンと、憎悪やら悪やらで全身を染め上げ、隠しきれない闇を纏ったAとではまるで違う。
Aは強い。この目で少女が戦っているのを見た訳ではないが、少女は強いだろう。故に引っかかるのだ。ボンクレーの言っていた｢本当はすごく弱くて脆い女の子｣というのが。"女の子"なんて呼べる程可愛い存在でもあるまい。加えて船長まで｢守ってやってくれ｣なんて頼み込む。
自分の知っている女は一癖も二癖もある。その中でもAは得体の知れない奇妙なものだった。
年齢的には少女。大海賊時代なんて呼ばれるご時世であろうとも年端もない少女が刀を持ち、死人のような顔をしているとは何事か。
少女の抱えている｢とんでもないモン｣とは何の事だろうか。
ゾロにとってAは最も警戒すべき危険人物。本音を言えば傍には置いておきたくない。それでも船長が仲間だと言い、守れと言われれば一船員は両手を上げるしかないのだ。
居候としてこの船に来てしばらく経つが、相も変わらず少女はこちらに歩み寄ろうとはしない。こればっかりはルフィも誤算だっただろう。
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チョコレート(プロフ) - きゃーぽんさん» ありがとうございます！面白いと思っていただけるよう、これからも頑張っていきます！ (2021年10月18日 1時) (
レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白くて一気に読みました！これかも頑張ってください！ (2021年10月18日 1時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 水無月碧音さん» ありがとうございます！！まだまだ未熟者ですが、楽しんでいただけているようで私も嬉しいです！ (2021年10月16日 4時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - とっても面白いです！繊細な文章で、読んでいてとてもワクワクします！応援してます、頑張ってください!! (2021年10月15日 21時) (レス) @page17 id: 8595db9a5d (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 星猫さん» んー、結構色んなアニメ知ってると思います！ (2021年10月14日 16時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チョコレート | 作成日時：2021年10月12日 19時
