食事*59* ページ10
「あっ、主だ・・・」
「何かいつもと雰囲気違うね・・・・」
ヒソヒソと話し出す刀達。
その様子に首を傾げながら入り口へ視線を移した。
・・・・・・あなや。
これは・・・・はは、面白い。
昨日まで柔らかい笑顔で接していた審神者が、ここまでの表情が出来るとは。
俺はやはり、主をかなり見くびっていたらしいなぁ?
「三日月、あれを」
隣に座っていた小狐丸が、主の傍にいる二振りに視線を移した。
・・・・・ほう、刀を持っているのか。
しかも太刀の一期一振が短刀を、打刀の鳴狐が大太刀を。
なるほど?全刀剣を集めると聞いたにも関わらず、ちらほら刀がいないのはそういうことか。
「誰もあれに気付いておらん。強いて練度の高い連中だけじゃろう」
「ふむ、この本丸は練度の高い刀は少ない。確か俺と小狐と・・・源氏兄弟だけだったか」
レア刀は大事に大事にされてきた。
だが、それと練度が高いのは全く違う。
大事にするが故に、レア刀はほとんど出陣したことがない。
源氏兄弟も、前の主がよく戦場に出していたおかげで練度が高いのだ。
「どうする、指摘するか?」
「うむ・・・・」
少し遠くに座っている髭切と目が合う。
髭切はその瞬間、人差し指を口に当て、いたずらっ子のような笑みを零した。
「・・・いや、言う必要はない。源氏兄弟も、俺達も、無駄な斬り合いを良しとしない」
「しかし、」
「それとも小狐、お前は主に刀を向ける気でもあるのか?」
「・・・・・そうじゃな。ならば黙っていよう」
それでいい。
俺も、こんなに面白い主を切り捨てる気は全くないのでな。
_______しかし。
やはり、時々・・・・ふとした時に思うのだ。
「(この本丸でなければきっと、この人間は)」
幸せになれたのではないかと。
誰かの為に強くなれるのは良いことだ。
弱気なあの人間が、ここまで強い目をすることが出来るのも、ここに来たからだ。
だが、それでもリスクというものは大きい。
「(あの二振りに関わった時点で、選択肢など用意されていない)」
死しか待っていないのだ。
それとも
「(それを十分分かったうえで、覚悟を決めたというのか)」
ああ、どうして
人間という生き物はこんなにも面白いんだろう。
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にゃ - っぐぅ…なんか辛くなってる…個人的ですがハピエン期待してます…(泣) (2023年2月11日 15時) (レス) @page29 id: eb220bc671 (このIDを非表示/違反報告)
こんるり(プロフ) - おぉぅ……!!辛い展開になっている…… 個人的にはハッピーエンドを期待しています!更新無理しない程度に頑張ってください!! (2020年1月10日 19時) (レス) id: 7bb9678102 (このIDを非表示/違反報告)
みかづち(プロフ) - 緑@黒太宰さぁぁん!さん» コメントありがとうございます!更新頑張っていきます!! (2019年6月13日 15時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
緑@黒太宰さぁぁん! - 続編おめでとう御座います!久しぶりに見に来たら2が出ていて驚きました!うわぁぁ!!一兄達の関係や鶴さん、伽羅君続きが気になる…此からも更新頑張って下さい*^_^* (2019年6月8日 18時) (レス) id: a246b0d986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかづち | 作成日時:2019年6月1日 20時