食事*70* ページ21
『お、おそらく・・・大和守さんは術をかけられています』
「術?」
加州さんと大和守さん本人の話から推測するに、多分そうだと思う。
大和守さんは“審神者に傷つけられた”という記憶がなくなっていた。
そして逆に、審神者を慕うようになっていた。
そういった術を使うタチの悪い審神者もいるんだと研修で言っていたのを覚えている。
『術をかけたのは、夜伽を強制していた審神者だと思います。・・・・・いえ、おそらく大和守さんだけじゃない。この本丸の刀ほとんどにかけたのではないかと』
「え・・・・・」
『審神者に傷つけられてきたにも関わらず、その審神者たちを慕ってこの二振りを恨んでいたのは・・・術のせいでもあると私は思います』
「・・・・・・じゃあ、何?」
大和守さんは、今にも消えそうな声でひきつった笑みをこぼした。
「今まで僕は、操られてたってこと?清光達に酷いこと言ってたのも、そいつらを恨んでたのも、全部今までの主が仕向けてたってこと・・・・?」
『大和守さん・・・・』
「愛されてたっていう記憶は、嘘なの?夢なの?・・・・あ、はは」
その場に崩れ落ちた彼を、加州さんはつらそうに見つめていた。
鶴丸さん達もなんともいえない表情をしている。
「そっか・・・・僕、なんにも悪くないあんた達を恨んでたんだ。・・・本当は恨んでなんかない。あんた達の唯一の理解者になろうとしてた。
ああ、そうだ。記憶が戻ってすっきりしたよ。・・・・こんなじゃあ、あんた達の理解者になんて、なれっこないな・・・」
「・・・・大和守」
鶴丸さんはふらつきながら彼と目線を合わせるようにしゃがんだ。
その瞳はすごく優しくて
大和守さんもそれは感じたのか、目にいっぱいの涙を溜めた。
「言っただろう?俺は守ってもらいたいわけでも、理解してもらいたいわけでもない。そんなこと、望んじゃいないんだ」
「っでも・・・!・・・・・違う、僕はあんた達を憐れんでるんじゃない・・・!本当に・・・本当に助けたいんだ!それだけなんだよ!!」
「分かってるさ。それでも、俺達と関わるとロクなことにならない。だから言ってるんだ」
「・・・・・もう、ダメなの・・・?もうあんたのことは救えない・・・?」
「・・・いいや、違うな」
彼の言葉を否定する声。
鶴丸さんは私を見ながら嬉しそうに笑った。
「俺を救ってくれたのは、人間だったのさ。驚きだろう?」
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にゃ - っぐぅ…なんか辛くなってる…個人的ですがハピエン期待してます…(泣) (2023年2月11日 15時) (レス) @page29 id: eb220bc671 (このIDを非表示/違反報告)
こんるり(プロフ) - おぉぅ……!!辛い展開になっている…… 個人的にはハッピーエンドを期待しています!更新無理しない程度に頑張ってください!! (2020年1月10日 19時) (レス) id: 7bb9678102 (このIDを非表示/違反報告)
みかづち(プロフ) - 緑@黒太宰さぁぁん!さん» コメントありがとうございます!更新頑張っていきます!! (2019年6月13日 15時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
緑@黒太宰さぁぁん! - 続編おめでとう御座います!久しぶりに見に来たら2が出ていて驚きました!うわぁぁ!!一兄達の関係や鶴さん、伽羅君続きが気になる…此からも更新頑張って下さい*^_^* (2019年6月8日 18時) (レス) id: a246b0d986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかづち | 作成日時:2019年6月1日 20時