白銀の運命 (ページ10)

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9story ページ10

「あ！！すいません！！前のとこでの癖でつい…！！

私がいつもいるとこ、仲間がすごく少なくて、もう全員家族みたいな感じで…！！」

「あ、その。別にいいんだけど…」

「今までは皆さんのこと、苗字で呼んでたんです。だけどなんか、春斗君と話してたら気が抜けて…。ってまた！！あぁ…！」

春斗に話す隙を与えない速さで喋っていくゆき。

春斗がフォローを入れようにも入れられない。

「決して上原さんだから気が緩んだってわけではありませんからね！？」

「う、うん。」

春斗はゆきが話すのを見てまた違うことを思った。

この子、意外とおしゃべりなんじゃない？

転入したてのことは、クールで無口で、近寄りがたい雰囲気。

みんなに質問されているときは、大人しくて、どこがのお姫様のような雰囲気。

そして今は…

どこにでもいるような、普通の女子高校生。

そう思った春斗は、少し気が楽になった。

「名前呼び、全然いいよ。
むしろ嬉しい。」

「本当！？」

「うん。」

春斗の言葉に、ゆきは安心したかのように笑った。

それにつられて春斗も‥

「タメでいいよ。今みたいにね。」

と言ってクシャっと笑った。

この時、初めて二人の間の空気が柔らかくなった気がした。

春斗は、もういっそのこと、思い切って聞いてみるか、なんて思ったくらいだ。

けれどもここは教室。

ゆきは、美人転入生ということもあり、目立つ。

なにかあっては大変だ。

そんなことも頭に入れ、春斗は口を開けた。