15story ページ16
「うわー！！すごい眺め！」
「うん、そうだね。」
春斗とゆきは、観 覧 車 に乗っている。
春斗はガチガチになって椅子に座っており、ゆきは嬉しそうに観覧車からの景色を眺めている。
普段、まったくと言っていいほど、女子と絡まない春斗。
そんな春斗が今、ゆきと二人きり。
「(何話したらいいんだ！？え、！？)」
冷や汗だらだら。
ゆきもそこまで鈍感じゃないようで、春斗の様子を探るように見ていた。
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
「ねぇ春斗君？」
「なーに？」
「緊張してる？」
「…」
言い当てられてしまった。
「え、あ、えと…はい。」
「ふふ、ふはは！！！」
春斗の反応に、笑うゆき。
この場の空気が、一気に和んでいった。
ゆきの力で。
ゆきはこれまでにも、いろいろな空気を作ってきた。
最初のような、誰も抗えないような空気や、守ってあげたくなるような空気。
今みたいに、優しい空気だって作る。
そして、場を壊すことも、きっと…
「あーあ。今の時間が、
ずっと続けばいいのに。」
その言葉を待っていたかのように、急に観覧車が止まった。
「え、え！？」
「あれ！？止まっちゃった！？」
誰が予想しただろうか。
あろうことか、観覧車はちょうど真上で止まった。
どこかの漫画のよう。
「(この流れだと、漫画とかドラマは、どっちかが告るんだよな。)」
このくだらない春斗の考え。
いや、想像。
それが、当たってしまうなんてこと…
「ねぇ、春斗君。
私ね。」
ボフッ
．
「 狐 な ん だ 。 」
．
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作者名：キャンディット | 作成日時：2018年3月4日 14時
