14story ページ15
鼻いっぱいに広がる甘い匂い。
シナモンの匂い、といったところか。
そして、それを手に嬉しそうなゆき。
ゆき自身は気づいていないようだが、かなり口元が綻んでいる。
手にはチュロス。
夢を見るかのように、それを見つめてから、パクリ。
「んん〜〜！！美味しい！甘い！」
バッと春斗の方を向き、満面の笑みを向けた。
「ん。良かった。」
春斗もゆきの笑顔を見て、応えるかのように笑顔になった。
「春斗君も食べてみてよ！！はい！」
「え、え！？」
焦る春斗。
そりゃそうだろう。
美味しい美味しい言っているものを渡すなんて。
それに、ゆきは気づいているかわからないが、
これって…
「(関節キ、ス…)」
そう考えて春斗は、一人で赤くなった。
一方ゆきは。
「ほらほら〜〜！！食べて！ね？」
春斗とからかうようにチュロスを渡す。
「うー。食べる！」
少し考え、意を決意したように春斗はチュロスを口にした。
口にしたチュロスの味は、想像よりも甘かった。
「どう?甘くておいしいでしょ？」
ゆきは声を大きくしていった。
「うん・」
「今度、また来れたら。その時は、シナモンじゃなくて、キャラメルを食べてみたいな〜。」
＿＿今度
今度来るときも、俺と一緒なのかな、違う人、友達を来るのかな。
そんな思いが、春斗の脳内を駆け巡る。
それに‥‥
ゆきの言葉には、何か春斗が引っかかる部分があった。
最初に方かも、最後の方かも覚えてないけど。
．
．
「ありがと。落ち着いたよ。」
しばらくして春斗は立ち上がっていった。
「わ、良かった！元気になてくれて。」
ゆきは安心したかのように、はにかんで笑った。
「じゃ、次はあれで…いいかな？」
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作者名：キャンディット | 作成日時：2018年3月4日 14時
