白銀の運命 (ページ2)

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今でも覚えている。

それは、俺が高校生の頃の出来事…＿＿＿

＿

「んんー！！」

早起きした。

外は真っ白。

今日は、１月１日。

初日の出を見るために、いつもより早く起きた“春斗”

前の日に雪が降ったからか、吐く息が心なしか白い。

寒さ対策のため、厚手のパーカーを手に、春斗はドアノブに手をかけた。

「行ってきます。」

コソッと呟いて後にした家には、誰もいない。

春斗は、高校に入ってから一人で暮らしている。

学校が近いから、という理由を付けて。

実をいうと、家族といるのが気まずくなったから。

始めの内は、全て一人、ということに不安が募り、家に引き籠ることが多かった。

だが今は、一人での生活も、むしろ楽しいと感じるほどになった。

向かっている所は、春斗お気に入りの秘密の場所。

この街に来て、一番最初に着いた場所だ。

坂を上り、階段を上がると、見えてくるのは、小さな広場。
野原、といってもいいだろう。

辺りは草木が沢山生え、遊び道具なんてものは一つもない。

ここは、あまり人が来ないし、景色もいいので、春斗はほとんど毎日ここへ来て
朝日を見る。

「はぁ、はぁ。」

何段あるかわからない階段を上る。

もう少し…というとこで、後ろを見るのも、春斗の楽しみの一つ。

「はぁ、はぁ。

うわっ……すっげ。」

今日は真っ白だった。

前日に雪が降ったこともあるせいか、いつにもまして真っ白。

赤い屋根の家も、大きくて広いグラウンドも。

全てが全て、白に。

．

白銀に変わっていた。