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ハァ、ハァ……。
走ってきてしまったから
息切れと動悸がハンパない。
上がった呼吸と心拍を落ち着けるように
深呼吸を繰り返す。
思うがままに走って、自然と向かっていたのは
……伊野尾さんのカフェ。
私が落ち着ける場所。
でも。心の整理がつかないままで
きっとあのホットカフェラテを飲んだら、
泣いてしまう気がする。
.
やっぱり適当にコンビニでホットコーヒー買って
そこら辺で飲んでから帰ろうかな。
踵を返そうとすると、
「あれ、Aちゃん?」
…………っ!!
声を掛けてきたのは、
「……涼介くん」
私の顔を覗き込むように
大きな瞳を少し見開いて首を傾げる涼介くんは
いつもよりちょっと良いスーツを着ている。
「いらっしゃいませ〜って、何? 2人で来たの?」
涼介くんは店の前に佇む私を
不思議に思ったようで「入らないの?」と
背中を押してきた。
こうなったら、逃げられないじゃん?
「いや、入る!」
店の扉を開けると
コーヒーの落ち着く香り。
と、久しぶりの伊野尾さん。
そんな伊野尾さんは、私達の姿を見て
目を丸くした。
「いや、たまたま店の前で会っただけ」
涼介くんが答えると
今度はニヤニヤする伊野尾さん。
「ご注文は何になさいますか? ……ふふ」
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作者名:めもり | 作成日時:2021年11月21日 21時