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「えっ……」
思ってもみなかった涼介くんからの提案は
ありがたくて……縋りたくなる。
でも、所詮同じカフェの常連という関係で
そんなこと頼んでしまってもいいのか。
「体調悪いときの大貴、
機嫌悪くなるしワガママですよ……?」
迷惑をかけるのは一目瞭然だ。
「ふふ、子供なんてそんなもんでしょ?
どうせ今日も姉貴に迎え頼まれてたし
いいよ全然。ひなとも仲良いしさ」
姪っ子がいる涼介くんは
子供への理解のある優しい人で。
今頼れる人となれば涼介くんしかいないし
これ以上に信頼できる人はいないんだけれど。
やっぱり迷惑なんじゃないかという思いが
邪魔をして、頷くことができない。
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「今1番に考えるのは子供のことなんじゃない?
体調悪いなら尚更、早く迎えに行くべきでしょ」
「……っ!」
渋る私の背中を、強めに押してくれたのは
伊野尾さんだった。
「迎えに行ったあとは
このカフェで休ませてやってもいいしさ。
あそこのソファ、ふわふわよ?」
伊野尾さんは優しく笑う。
甘えていいのかな。
そんな気にさせてくれるように。
ちらっと涼介くんの方を見ると
返事を待っているように、首を傾げながら
私を見つめている。
「お迎え、お願いします」
2人の優しさが後押しとなり
私は涼介くんに頭を下げた。
「ふふ、もちろん。
責任を持ってお預かりします」
頭上げて? と言う涼介くんは
優しく微笑んでいた。
あぁ、涼介くんも伊野尾さんも。
このホットカフェラテのように
とても温かい。
会社での出来事もあり
2人の優しさがいつも以上に心に染みた。
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作者名:めもり | 作成日時:2021年11月21日 21時