ハッピーエンドは、ジェシーくんと

初めて秘密を作った日 ページ26

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忘れもしない、初めてAとキスをした日のこと。
付き合って間もない、まだ蝉が鳴いてた夏の終わりのことだった。







珍しくAの部活が休みで、俺もレッスンが休み。
Aを学校に迎えに行って、一頻り原宿や渋谷で遊んだ。
カップルらしく、制服のまんまプリクラを撮ってみたり、一緒にクレープを食べてみたり。
Aってばね、鼻の頭にクレープつけたりして、そりゃもう、とんでもなく可愛いの。



少しだけアイドルのルイス・ジェシーを忘れて、一人の男子高校生として楽しんだ。






この頃はA、お父さんの仕事の都合で引っ越して横浜に居たから俺の最寄駅からAの家の最寄り駅までちょうど1時間くらい。

よく渋谷で遊んでたけど、渋谷を挟んでちょうど反対方向に30分ずつ行ったところが俺たちの家。
いつも俺がAを家まで送るってのがデートコース。

ジェシー逆方向だからいいのに、っていうAを押し切っていつも一緒に電車に乗ってた。




この日も、デートを終えて20時、まだ離れたくないなぁ、なんて考えながら広いシートに二人してくっついて座って小指を絡める。

新丸子がちょうど神奈川の入り口。
そのあたりで、いっつも少しだけ寂しそうな顔するの。
菊名、白楽、反町…それで横浜。



横浜で下車して、駅の出口をくぐってAの家に歩く。
駅から歩いて10分なのに、いっつも早く感じちゃうのは、Aと1秒でも一緒にいたいから、かな。






『ねぇ、ジェシー。
あのね、今日…もうちょっとだけ一緒に、いたい、かな…なんて…。』





ダメかなぁ？って申し訳なさそうに眉を下げたキミ。
電車の中で小指だけを絡めてた手は、いつのまにか指と指をしっかり絡めあってて。

それで、繋いでない方の手で俺の服の裾をちょん、って掴むの。





そりゃあね、俺だって、帰したくない。






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