この音に乗せて (ページ44)

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｢今日学校休む。｣

朝、お兄が家を出る前に起きて、そう言うと、

｢ん、じゃあ俺も早く帰ってくるから、今日は外食にでも行こっか。｣

今日は、お兄の優しさに甘えることにした。

・

今何時だろう。

あれからもう一度布団に潜り、1人の寂しさを紛らわすためにお昼のバラエティ番組をつけて見たり。

でも、虚しくなるだけだった。

スマホの画面を見ると、いつの間にか、着信や通知が溢れかえっていた。

1番上には｢松村北斗｣の文字。

12時半

お昼の時間かな、なんて思って折り返しをかけてみた。

Prr

｢もしもし？Aちゃん？｣

ワンコールで出た松村くん。

｢うん。今日学校休んでごめんね。｣

｢ううん。先生も聞いてないって言うから心配しちゃって。体調不良とか？｣

｢まあ、そんなもん。｣

歩きながら電話してるのか、松村くんは少し息が荒かった。

｢昨日は楽しかった？｣

松村くんは立ち止まったのか、しっかり声が聞こえるようになった。

｢うん、。楽しかったよ。オムライス作ったんだ。｣

｢俺も食べたいな、Aちゃんのオムライス。｣

｢じゃあ、今度家に来てよ、作ったげる。｣

｢本当？嬉しい。｣

私、普通に喋れてるよね。

悲しくなんてないもん。

この広い家に独りでも、寂しくなんて、無いんだ。

いつも通りじゃんか。