孤独な高嶺の花 (ページ4)

今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:10,928 hit

紅ノ海家ページ4

学校では高嶺の花の異名で知られ､街を歩けば皆振り返り､
あまりの美しさから､声をかけるものもいないほどの美貌と､
オーラを纏うAだが
そんな彼女の家での様子とは､､､

＿＿＿＿＿＿＿

｢ただいま戻りました｡｣

"Aお嬢様お帰りなさいませ｡お食事が出来ております｡皆様お揃いですので､着替えられましたらすぐに降りてきてくださいませ｡"

｢分かりました｡ありがとうばあや｣

お嬢様のような風貌を持ち合わせた彼女だが､実際にお嬢様なのです｡

｢お待たせして申し訳ありません｡先程戻りました｡｣

"おかえりなさい｡A"

"遅いぞ､お前のために五分も待った｡次からはもっと早く来なさい｡みんなお腹をすかせてるんだ｡

｢申し訳ございませんでした｡｣

"もういい｡いただきます｡"

｢"いただきます"｣

これが彼女の家の日常である｡

父親が絶対的地位を確立しており､

そんな父親に抗うことは決してない母親､

Aより将来を期待されており大事に育てられた弟､

この和気あいあいとは言えない空間が､紅ノ海家では当たり前の光景｡

"ご馳走様でした"

｢"ご馳走様でした"｣

"では､イジュン今日もしっかり勉強するように"

"はい､分かりました父上"

"イジュンに不便がないようにしろよ"

"はい､分かりました｡あなた"

"では､おやすみ"

｢"おやすみなさいませ｡父上様｡"｣

紅ノ海家では彼女は､まるで空気も同然かのように扱われる｡

将来有望な弟の邪魔にならないように､自分が果たせなかった父親からの期待を背負ってもらう代わりに､自分は空気にでも何にでもなろうと､彼女自身も家族に自分から話しかけることは無くなったそうな､､､

ただ､心の奥底では自分も親にかまって欲しい｡
少しでいいから話を聞いて欲しいと思うのが､まだ大人にはなりきれない十八歳の少女の切ない子ども心である｡

子の心親知らずとはまさにこの事､､､