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西:「いつかきっと」 ページ7

もうすぐ学園祭が始まる。


夏の蒸し暑い体育館には古くなった道具の香りと汗の匂いが微かに漂っている。


そこへ来て見つけた。アントーニョの姿を。


『お前は何を望んでいる?この世の絶望?この世の平和?その手に収まるものなのか?世の理〈ことわり〉に背いてそれをなんとする!』


アントーニョは演劇部。台詞だけを聞けばアントーニョらしくはないけれど、制服の上から衣装のコートを着て、それをくるくる回ってたなびかせる様子は俳優そのもの。剣の小道具もしなやかに動かしていた。


『傲慢で醜いひとの子よ!お前の手はそれほどに大きくない。立ち去れ!二度とその足で神が聖域を侵すな!!』


この台詞はアーサー。アントーニョからはアーサーと一緒に演技をするシーンがあって、今はその部分の練習を重ねているのだと聞いた。


「お疲れ、アントーニョ。」

「Aは今日も来てくれたんか!おおきに!」

「今の演技もかっこよかったよ!」


かっこよかった、なんて男子の心に響くかもわからない言葉だ。


でもわたしがアントーニョを好きなのは確かなことで、だからこうして演劇部の練習を見に来ている。毎日欠かさずに。


「今回の演劇は時代物なんや。その中にアルマダの海戦のシーンがあってな、そこをアーサーと二人でやるねん。もう剣裁きもお手のもんや!」

「おかげで俺はこの役のせいで『海賊紳士』なんてあだ名をつけられていい迷惑だけどな。」

「学祭当日はAも見に来てくれるやろ?」


行かないわけがないけれど、おそらくアントーニョはわたしの気持ちに気付いていない。


どこまでも真っ直ぐで鈍感な人だから。


それでも好きになったのだから覚悟はできてる。


「うん。もちろん行くよ。楽しみにしてるね!」


いつかきっと、あなたを夢中にしてみせる。

仏:「禁断の屋上で」→←中:「居残りの教室」



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設定タグ:APH , ヘタリア , 学園ヘタリア   
作品ジャンル:アニメ
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桜葉 - スノーデイさんの小説はどれも素敵ですね!これからも頑張ってください応援してます! (2017年10月28日 11時) (レス) id: e19bf62fb6 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!これからもそう言っていただけるように頑張ります。 (2016年4月28日 14時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - スノーデイさんの小説はどれも素敵で読みやすいです!これからも応援しています!(*^_^*) (2016年4月26日 20時) (レス) id: 8dc6dca93f (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ルネさん» ありがとうございます。しかしわたしはまだまだなのでもっと読みやすい文章が書けるように努力します。 (2016年4月1日 23時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ルネ - 文章全てが綺麗でわぁ青春だなぁと思えるようなものばかりで素敵です。 (2016年4月1日 20時) (レス) id: 97fe96e6af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スノーデイ | 作成日時:2016年3月10日 21時

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