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仏:「瞳に捕らえられ」 ページ44

何かの歌で『教室の窓から桜の花びらが雨のように入って来る…』みたいな歌があったっけ。


「あの…何を見てるの?」

「もちろん、Aちゃんの可愛い横顔だよ。」


新学期早々この調子だから困る。


彼の名前はフランシス・ボヌフォア。噂ではこういう人だとは聞いてきたけれど、まさかそんな人と同じクラスになるとは思いもしなかった。しかもそれがわたしのすぐ左隣の席だというのだからどうしようもない。


「なんでそんなにじろじろ見るの?」

「だって美しいものはいつまで見ても飽きないじゃない?」


どうせ誰にでも同じことを言っているのだろう。フランシスの瞳に捕らえられたなら、パリジェンヌでもパリジャンでも構わないらしい。


そう思うと何も言い返す気になれない。言い返したとしても適当な返事か、聞き流すしかできないと思った。


「そういうのやめてくれない?」


心にもないことを言われるのは気分が悪い。


「嫌だね。」


すました顔だった。人にそう言われることを面白がっているようにも見える。


春の陽射しにフランシスの髪が蜂蜜みたいに透けて見えた。


「Aちゃんは俺の言葉を嘘だと思ってるんだよね?だとしたらそれは間違ってるよ。」


さっきまで面白がっていたくせに、その顔が徐々に真面目なものになっていく。何が何だか全然わからないから胸のあたりがムカムカした。


「俺に見られたくないなら、まずはその卑屈さを治したらどう?」

「なにそれ。」

「その卑屈さがAちゃんを醜くさせてると思えば、ちょっと心境が変わるかと思ったんだけど…」


外の桜は満開。


光は眩しい。


「それでもAちゃんは充分素敵だよ。」


風がフランシスの髪を桜の花びらと共に煽り、瞳は青空のように澄んでいる。


その瞳に、まさかわたしも捕らえられるとは考えもしなかった。

英:「背中を押したのは」→←摩:「幸福の願い」



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作品ジャンル:アニメ
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桜葉 - スノーデイさんの小説はどれも素敵ですね!これからも頑張ってください応援してます! (2017年10月28日 11時) (レス) id: e19bf62fb6 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!これからもそう言っていただけるように頑張ります。 (2016年4月28日 14時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - スノーデイさんの小説はどれも素敵で読みやすいです!これからも応援しています!(*^_^*) (2016年4月26日 20時) (レス) id: 8dc6dca93f (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ルネさん» ありがとうございます。しかしわたしはまだまだなのでもっと読みやすい文章が書けるように努力します。 (2016年4月1日 23時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ルネ - 文章全てが綺麗でわぁ青春だなぁと思えるようなものばかりで素敵です。 (2016年4月1日 20時) (レス) id: 97fe96e6af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スノーデイ | 作成日時:2016年3月10日 21時

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