米：「最高に滑稽だ」 ページ41
学校の授業で習うことは大抵ろくなもんじゃない。
だからみんな先生のつまらない話に飽きてクラス中が私語の嵐。うざったい生徒たちの動きがチラチラ視界に入って鬱陶しい。
「A、スマイル！スマイルなんだぞ！」
隣の席のそのまた隣。アルフレッドがわたしをどうにか笑顔にさせようと頑張っている。これがすぐ隣の席だったらな、と思った。
こうしてアルフレッドが励ましてくれるのは今に始まったことではない。
「A、またしかめっ面してるんだぞ。今度はどうしたっていうんだい？」
「この前のテストの結果が最悪だったの。見てよこれ。信じられる？」
アルフレッドに見せたのはわたしの答案用紙。理科のテストだった。赤点ギリギリの31点。それならまだいい。そこまでなら。
しかし我慢がならないのが、うっかり答案用紙を床に落とした拍子に性格の悪いクラスメイトに見られてしまったこと。見てもすぐに返せばいいのに、わざわざ点数のことを馬鹿にする。
学校では学力がすべて。人間性なんかまるで無視。
そういうところだとは知っていた。
知っていたけれど…。
「HAHAHA！そんなことだったのかい。」
「ひどい。わたしは真剣に悩んでるのに。」
「批評家なんかどこにでもいるさ。どうせテスト以外のことでもAに意地悪するに決まってるよ。Aが気にすることないんだぞ。」
「でも…いくらわたしでもこれはちょっと許せないし凹むよ。」
「じゃあAが笑うようなことしてあげるよ！これを見れば一発で元気になるぞ！」
アルフレッドはマジックで点数の数字をたちまち変てこな絵に変えた。まるでアメコミの中の一コマがつまらない答案用紙に登場したことでとても滑稽に見えた。クスッと笑いが出るようだ。
「あはは！それおかしいよ。」
「やっと笑ったな！もっと面白いことするかい？」
「どんなことするの？」
「こうするのさ。」
次にアルフレッドがやったことは、わたしの笑われた答案用紙を先生やみんなの見ている前で勢いよく破り捨てた。小さな紙屑になるまで、何回も、何回も、何回も…。
それをぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱へ。野球のボールを投げるような仕草だった。
みんなは唖然としているか、あいつやばくね？という耳障りな囁き声を生み出しているだけ。
「どうだい？これでスッキリしただろ？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヘタリア」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜葉 - スノーデイさんの小説はどれも素敵ですね！これからも頑張ってください応援してます！ (2017年10月28日 11時) (
レス) id: e19bf62fb6 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます！これからもそう言っていただけるように頑張ります。 (2016年4月28日 14時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - スノーデイさんの小説はどれも素敵で読みやすいです！これからも応援しています!(*^_^*) (2016年4月26日 20時) (レス) id: 8dc6dca93f (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ルネさん» ありがとうございます。しかしわたしはまだまだなのでもっと読みやすい文章が書けるように努力します。 (2016年4月1日 23時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ルネ - 文章全てが綺麗でわぁ青春だなぁと思えるようなものばかりで素敵です。 (2016年4月1日 20時) (レス) id: 97fe96e6af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スノーデイ | 作成日時：2016年3月10日 21時
