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香:「意地悪」 ページ39

今日は年に一度の体育大会。


とは言っても学年対抗でバレーボールをするというだけで、それに丸一日を費やすのは体育嫌いなわたしにとっては苦痛なものだった。


「A、ちーっす。」

「香。おつかれ。」


体育館のステージにいるわたし。香はわたしの姿を見つけると、飄々とした様子でステージに登って来る。その仕草を見る度に『軽い人だな』と思う。


「ところでA、具合悪くて試合休んでる的なこと聞いたんすけど大丈夫なんすか。」

「あー…そのことなんだけどね」


身をひそめて周りを見渡し、そしてそっと香に耳打ち。


「実は仮病使ってるんだ。」

「マジすか。なんでそんなことする的な?」

「だってわたしの体育嫌いは知ってるでしょ?」


みんなわたしが体育が苦手なことを知っている。わたしはみんなのようには素早く動けないし、ボールも取れない。だから遅くまで残って練習もしたけれど、やはり人には向き不向きがある。


役立たずのわたしは、言ってみればこういう機会では厄介者なのだ。


「そうっすか…なんか俺、Aに悪いこと聞いた的な。」

「いいんだよ。全部ホントだしね。」

「仮病だってバレてないんすか?」

「そんなのバレてもどうってことないよ。」


みんなわたしが仮病だろうが何だろうが興味はないだろう。理由なんてどうでもよくて、わたしがいなければそれでいいのだ。どうせ試合に参加してもみんなの足を引っ張るだけなのだから。


「…じゃあ俺も試合、見学する的な。」

「えっ?香が抜けることないよ。香はちゃんとボールも取れるんだから。」

「いいんすよ。それにこうして一緒に休めばAとゆっくり話ができる的な。」


香の優しい視線がわたしの心を射抜く。


「俺、Aの隣にいてもいい的な?」


断れないのを知っているくせに、答えはすでにわかっているくせに。


それをわざわざ言わせるところが香の意地悪なところ。

葡:「笑顔を見せて」→←西:「残酷な優しさ」



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設定タグ:APH , ヘタリア , 学園ヘタリア   
作品ジャンル:アニメ
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桜葉 - スノーデイさんの小説はどれも素敵ですね!これからも頑張ってください応援してます! (2017年10月28日 11時) (レス) id: e19bf62fb6 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!これからもそう言っていただけるように頑張ります。 (2016年4月28日 14時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - スノーデイさんの小説はどれも素敵で読みやすいです!これからも応援しています!(*^_^*) (2016年4月26日 20時) (レス) id: 8dc6dca93f (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ルネさん» ありがとうございます。しかしわたしはまだまだなのでもっと読みやすい文章が書けるように努力します。 (2016年4月1日 23時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ルネ - 文章全てが綺麗でわぁ青春だなぁと思えるようなものばかりで素敵です。 (2016年4月1日 20時) (レス) id: 97fe96e6af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スノーデイ | 作成日時:2016年3月10日 21時

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