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氷:「後悔先に立たず」 ページ37

教室に夕陽が差し込んだ。


わたしもみんなも進路は決まった。これまで歩んできた仲間たちともお別れ。それぞれの道を歩んで行く。


この教室を出ればわたしは大人になるのだ。


「A。まだ帰らないの?」


イースが呆れたように言った。


「うん。もうちょっとここにいたいんだ。」

「そう言ってからもう30分も経ってる。」

「もうそんなに経つの?」


待つのが嫌なら先に帰ればいいものを、イースは義理堅くわたしを待ってくれている。


「わたしね、本当はここを出たくないんだ。思い返してみると後悔することだらけで、やり直したい気持ちがたくさんあるの。」


けれど時間は巻き戻せない。


いくら後悔しても、もう遅い。


「誰かと一緒に登校して、お昼休みは一緒にお弁当を食べて、放課後はカラオケ行ったり、時にはUSJでデートしたり、何かの記念日には手作りのケーキやお弁当をあげる…そんなことをしてみたかったな。」


そんな願望もここでは無意味だ。


「僕も後悔してることがあるんだ。」


イースの言葉に思わず驚く。


「僕も後悔してる。」

「何に後悔してるの?」

「Aに後悔させたこと。」


一瞬の出来事だった。


その言葉が出た途端、イースはわたしの隣にやって来て、わたしの身体を優しく抱きしめる。


イースの温もりと夕日の暖かさで溶けてしまいそうなほど。


「素直になれなくてごめん。本当はこうしてあげたかった。」

「いいんだ。謝らないで。わたしも自分の気持ちに正直になるべきだった。」

「Aには悪いことをしたと思ってる。僕がもっと早くにこうしてあげてたら、Aが学校でつらい思いをすることはなかったんだから。」


つらい…?


「わたしのどこがつらそうに見える?幸せだよ。すっごくね。」


この教室を出る前にイースの気持ちを聞けてよかった。これほど幸せなことはない。


「今までありがとう。イースのおかげで楽しかったよ。」

「僕もAと同じ教室にいられてよかった。」


お互いにもっと早く、素直に向き合うべきだった。


そう後悔しても遅いのだ。



後悔先に立たず。

西:「残酷な優しさ」→←加:「小さな灯火」



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設定タグ:APH , ヘタリア , 学園ヘタリア   
作品ジャンル:アニメ
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桜葉 - スノーデイさんの小説はどれも素敵ですね!これからも頑張ってください応援してます! (2017年10月28日 11時) (レス) id: e19bf62fb6 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!これからもそう言っていただけるように頑張ります。 (2016年4月28日 14時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - スノーデイさんの小説はどれも素敵で読みやすいです!これからも応援しています!(*^_^*) (2016年4月26日 20時) (レス) id: 8dc6dca93f (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ルネさん» ありがとうございます。しかしわたしはまだまだなのでもっと読みやすい文章が書けるように努力します。 (2016年4月1日 23時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ルネ - 文章全てが綺麗でわぁ青春だなぁと思えるようなものばかりで素敵です。 (2016年4月1日 20時) (レス) id: 97fe96e6af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スノーデイ | 作成日時:2016年3月10日 21時

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