仏:「さがしもの」 ページ34
今日はいつもより教室の蛍光灯が白くて明るい。頭がクラクラした。
「うそ…どうしよう…。」
体育の授業が終わってみれば自分のスカートがないことに気が付いた。体操着のまま、どこを探しても見当たらない。
どうしてこうなったか分かっている。隠されたのだ。私物を隠されるのはいつものことだったので今さら驚きはしなかったが、今回ばかりは困る。制服は毎日の通学に絶対に欠かせないものだから。
「Aちゃん、何か探しもの?」
突如現れたフランシス。助けてほしいけど、泣きたいほど訴えたいけどわたしにはできない。
「制服のスカートがなくて…」
「ふぅん。」
やっぱりフランシスが助けてくれるわけがない。女子の陰湿な足の引っ張り合いに男子が関わるわけがないのだ。わかってはいるのだけれど、やはり悲しくてわたしは唇を噛み締め、そして俯く。
「…これでしょ?Aちゃんが探してるものは。」
フランシスがくるくるっと丸めてわたしの机に置いたもの。それは紛れもなくわたしの制服のスカートだった。
「Aちゃんが意地悪されてるのは知ってたよ。でもこれは俺も見てられないな。」
じゃあどうしてその時に止めてくれなかったんだ、とフランシスを心の中で責めた。
「Aちゃんも黙ってることないんだよ?いつも堂々としていればいいんだから。」
「でも、男子もみんなわたしを嫌ってるんじゃ…」
「そんなことない。」
間髪入れずに答えたフランシスの顔は怖いくらいに無表情だった。
そしてなぜか青い瞳が異様に輝き、冷めて見える。冷酷にも見えた。
「男子は表面上は無関心に見えるのが多いけど、みんなAちゃんの様子を見て気の毒に思ってる。もちろん、俺もね。」
「だけど、わたしの味方をしたら女子たちから何されるかわかんないよ。」
「それならそれでいいじゃない。」
廊下の向こうから女子たちの来る足音が聞こえた。
「Aちゃんが笑顔を見せてくれるなら、俺はAちゃんと一緒になって立ち向かうよ。」
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桜葉 - スノーデイさんの小説はどれも素敵ですね!これからも頑張ってください応援してます! (2017年10月28日 11時) (レス) id: e19bf62fb6 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!これからもそう言っていただけるように頑張ります。 (2016年4月28日 14時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - スノーデイさんの小説はどれも素敵で読みやすいです!これからも応援しています!(*^_^*) (2016年4月26日 20時) (レス) id: 8dc6dca93f (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ルネさん» ありがとうございます。しかしわたしはまだまだなのでもっと読みやすい文章が書けるように努力します。 (2016年4月1日 23時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ルネ - 文章全てが綺麗でわぁ青春だなぁと思えるようなものばかりで素敵です。 (2016年4月1日 20時) (レス) id: 97fe96e6af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スノーデイ | 作成日時:2016年3月10日 21時