愛:「心を掴まれて」 ページ32
「こんにちは、隣いいですか?」
食堂で不意に声をかけられた。声に振り向けば同じ合唱部のエドァルドだった。
「うん、いいよ。」
「ありがとうございます。」
思えばエドァルドとは同じ部活でもこうして二人きりで話をしたことはない。普段はほかの部員たちや、ウク姉と関わっていることが多々あるものだから、ちょっとだけ緊張する。
同じ部活に所属している仲間なのに、何を構えることがあるんだか。
「そういえばAさん、最近練習に来ていませんが何かあったんですか?」
ドキッとした。エドァルドの口調はべつに責めているような言い方ではない。ただの心配から出た言葉だということはうかがえるけれど…。
「うん、ちょっと風邪引いちゃって喉の調子が悪いんだ。」
「そうでしたか。それなら治るまで無理に声を出してはいけませんね。合唱部は声が命ですから。」
しばしの無言の後。
「…風邪が治ったら、来てくれますよね?」
「え?」
妙に改まった様子で、エドァルドはこちらを見ている。
艶やかに輝く金色の髪に、澄み渡る青空のような瞳。そして美しく整った顔で見つめられたら、もう…。
「僕は好きですよ。Aさんの歌声が。」
ありがとうも言えず、嬉しいのか驚いているのか自分でもわからないまま。
わたしもエドァルドを見つめ続けるだけ。
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桜葉 - スノーデイさんの小説はどれも素敵ですね!これからも頑張ってください応援してます! (2017年10月28日 11時) (レス) id: e19bf62fb6 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!これからもそう言っていただけるように頑張ります。 (2016年4月28日 14時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - スノーデイさんの小説はどれも素敵で読みやすいです!これからも応援しています!(*^_^*) (2016年4月26日 20時) (レス) id: 8dc6dca93f (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ルネさん» ありがとうございます。しかしわたしはまだまだなのでもっと読みやすい文章が書けるように努力します。 (2016年4月1日 23時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ルネ - 文章全てが綺麗でわぁ青春だなぁと思えるようなものばかりで素敵です。 (2016年4月1日 20時) (レス) id: 97fe96e6af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スノーデイ | 作成日時:2016年3月10日 21時