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独:「心は共に」 ページ4

わたしは中学を卒業し、この春から高校生になる。


今は春休み。同級生のルートと二人で大型スーパーのフードコートでクレープ片手に駄弁っている最中だ。


「もう別々の学校に通うんだね、わたしたち。」

「今さら何を感慨深そうに言っているんだ?」

「だって卒業ってやっぱり寂しいじゃん。」

「あれほど卒業したがっていたAがそれを言うのか。」


呆れたようにルートは鼻で笑った。心から信頼できるルートだから打ち明けられる想いがある。


「だってクラスの脳内お花畑たちの考えが理解できなかったからね。」


わたしは髪をかき上げて溜め息をついた。卒業間際のクラスの異様な盛り上がりを呆れた笑いで乗り切ったことを思い出し、心に怒りと虚しさが吹き荒れる。


「みんなおかしいんだよ。今までは散々人を馬鹿にしてきたくせに、卒業する頃になってからみんな仲良く友達ヅラしてさ。ほんとバカ。」


それなら最初から仲良くすればよかったのに。


「普通の奴らにとってはいい思い出として残るんだろうけど、学校生活を邪魔された人には嫌な思いしか残らないんだよ。」


その嫌な思い出は一生残る。それがどれほどのことなのかみんな気付いていない。


「馬鹿な奴には一生わからないか、あるいは大人になってからようやく理解できるんだろう。ただし利口な奴だけに限るが。」


ルートだけだった。わたしの感情を理解してくれたのは。


「だが俺はAのおかげで思いのほか楽しかったぞ。時折クラスのろくでなしに反発したことがあっただろう?」

「あー。そんなこともあったね。」


若気の至りというのか、その場の勢いに任せてバカをやったものだ。


「それを見て、俺は胸のすく思いだったぞ。あの時のAは本当によくやってくれたと思っている。」

「それをルートが言う?」


ルートだっていつもキレていたくせに。


「とにかく、Aには卒業しても変わらないままでいてもらいたいものだな。」

「わたしはずっと変わらないよ。」


変わらない。変わりたくない。


「それならいい。それでこそ俺の知っているAだからな。」


わたしはルートとこうして愚痴り合う仲でいたい。


たとえ離れても同じ気持ちでいたい。心は共にありたい。


いつまでも。

南伊:「春の日の放課後」→←日:「恋は湯煙」



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設定タグ:APH , ヘタリア , 学園ヘタリア   
作品ジャンル:アニメ
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桜葉 - スノーデイさんの小説はどれも素敵ですね!これからも頑張ってください応援してます! (2017年10月28日 11時) (レス) id: e19bf62fb6 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!これからもそう言っていただけるように頑張ります。 (2016年4月28日 14時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - スノーデイさんの小説はどれも素敵で読みやすいです!これからも応援しています!(*^_^*) (2016年4月26日 20時) (レス) id: 8dc6dca93f (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ルネさん» ありがとうございます。しかしわたしはまだまだなのでもっと読みやすい文章が書けるように努力します。 (2016年4月1日 23時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ルネ - 文章全てが綺麗でわぁ青春だなぁと思えるようなものばかりで素敵です。 (2016年4月1日 20時) (レス) id: 97fe96e6af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スノーデイ | 作成日時:2016年3月10日 21時

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