英:「いやな人」 ページ27
わたしのクラスは特進クラス。
そこへある日突然転校してきた人は変わり者だった。
「A、シャーペン貸してくれないか?家に忘れて来たんだよ。」
わたしにそう話しかけて来たのは転校生のアーサー・カークランド。おそらくそのクラスどころか、学校で一番の変わり者かもしれない。
「…べつに貸してあげてもいいけど。ちゃんと真面目に授業受けたら?」
「授業を受ける?それは勉強出来ない奴のすることだろ。俺には勉強なんか必要ねーよ。ただやりゃいいんだから。」
高慢で、怠惰で、見ているだけで殺意が湧いてくる奴もそうはいない。
そしてアーサーのムカつくところは、普段は授業中に寝ていても試験の問題はきちんと解けるし、学力も常に学年トップなところだ。おまけに先生方から『我が校始まって以来の秀才』と言われるほど。
必死に勉強してやっと普通の成績を取れる人もいるのに、不公平だ。
「それでよく先生と上手くやってられるよね。うらやましいよ。」
「上手くなんかいってねえよ。ただ奴らに合わせてやってるだけだ。」
「何それ。」
どこまでも傍若無人なアーサー。謙虚という言葉を理解できるのかすらも疑わしい。
「…やっぱりAは俺の思った通りの奴だな。」
「え?」
「素直過ぎて、正直過ぎて何の面白味もない。先生の言うことも世間の出来事も、何でもかんでも鵜呑みにするタイプだろ?」
図星を突かれて言葉が出なかった。
「Aは俺のことを毛嫌いしてるんだろうが、無駄に教養があってお高くとまったAも充分いやな奴に見えるぞ。」
そしてアーサーは特進クラスの教室にいながらにしてこんなことを口にする。
「だいたい学校なんて施設は良いもんじゃない。先生だって本当はろくでなし集団だ。」
「そんなこと言っていいの?」
「べつにいいだろ。学校で学んだことのほとんどは役に立たないが、知識は何でもいいから吸収しておくべきだと俺は思ってる。必要なものとそうじゃないものは後で選別すればいいんだからな。」
アーサーの言葉はそれまでの価値観を覆すものだったが、何か不思議な感情が心の中でうごめく。
それは決して恋心などではなく、一種の洗脳が解けたような感じ。
「アーサーって本当に嫌な奴。でも、すごく面白いよ。」
「そりゃどうも。Aの根性も悪くないな。」
変わり者と凡人の小さな交流。
60人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヘタリア」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜葉 - スノーデイさんの小説はどれも素敵ですね!これからも頑張ってください応援してます! (2017年10月28日 11時) (レス) id: e19bf62fb6 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!これからもそう言っていただけるように頑張ります。 (2016年4月28日 14時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - スノーデイさんの小説はどれも素敵で読みやすいです!これからも応援しています!(*^_^*) (2016年4月26日 20時) (レス) id: 8dc6dca93f (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ルネさん» ありがとうございます。しかしわたしはまだまだなのでもっと読みやすい文章が書けるように努力します。 (2016年4月1日 23時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ルネ - 文章全てが綺麗でわぁ青春だなぁと思えるようなものばかりで素敵です。 (2016年4月1日 20時) (レス) id: 97fe96e6af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:スノーデイ | 作成日時:2016年3月10日 21時