瑞：「覚えてますか」 ページ23
あなたは覚えてますか。
「A。どうしたのだ。」
「大丈夫だよ、何でもないから。」
遠足の時、歩くのが遅くてみんなから遠く離れてしまった時。
誰もがわたしの存在を忘れていたのに、振り返って歩み寄ってきてくれたのはバッシュただ一人。
「何でも無い訳がなかろう。足を見せてみるのである。」
「いやっ、本当に大丈夫だから！」
少しだけ乾燥していて、ひんやりしたバッシュの手。わたしの足に触れた。強くもなく弱くもない感触。
「…やはり靴擦れを起こしているではないか。」
皮が剥けて滲み出た血は靴下を赤く染め、靴にも痛々しい色を作っているのをバッシュは表情も変えずに見ていたのを覚えてる。
「これでは到底歩けまい。いま人を呼んで来るのである。」
お礼を言う暇もなく、バッシュは行ってしまった。
必要以上のことは語らない人だ。
わたしはただ道の真ん中にしゃがみこんでいるだけ…。
「A。」
「バッシュ…？」
去ったはずのバッシュが戻ってきた。
「一人で待つ間は心細かろう。これを見ていればAの足の痛みも少しは紛れるであろうからな。」
手渡されたのはツツジの花。
「もう少しの辛抱である。」
一言そう言ってからまた先生を呼びに去っていくバッシュの姿を見送りながら思いやりの温かさを知る。
汗ばむ手のひらにちょこんと乗ったツツジ。
ねぇ、バッシュ。
バッシュがくれたツツジの花がいつもわたしの支えだったことを、あなたは覚えていますか…？
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桜葉 - スノーデイさんの小説はどれも素敵ですね！これからも頑張ってください応援してます！ (2017年10月28日 11時) (
レス) id: e19bf62fb6 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます！これからもそう言っていただけるように頑張ります。 (2016年4月28日 14時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - スノーデイさんの小説はどれも素敵で読みやすいです！これからも応援しています!(*^_^*) (2016年4月26日 20時) (レス) id: 8dc6dca93f (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ルネさん» ありがとうございます。しかしわたしはまだまだなのでもっと読みやすい文章が書けるように努力します。 (2016年4月1日 23時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ルネ - 文章全てが綺麗でわぁ青春だなぁと思えるようなものばかりで素敵です。 (2016年4月1日 20時) (レス) id: 97fe96e6af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スノーデイ | 作成日時：2016年3月10日 21時
