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北伊:「無理をしないで」 ページ12

4月の肌寒いある日。


今年から受験生になるわたしは学年で一番最初にインフルエンザにかかり、医師の診断を受けてようやく学校へ通えるようになった。


ただ咳はまだ抜けない。マスクもつけたまま。


「Aちゃん、久しぶり!インフルエンザはもう大丈夫なの?」


一番わたしを気にかけてくれたのはフェリシアーノだった。いつもその明るい表情でわたしを見つめてくれる優しい人だ。わたしはフェリシアーノの太陽みたいな笑顔に支えられている。


「ありがとう。今日から学校に通ってもいいって、お医者さんもそう言ってくれたんだ。」

「そっか。治ったならもう大丈夫なんだね。俺、ずっとAちゃんが心配だったんだ。」

「そうなんだ…。」


わたしは素直に喜べなかった。心の中では嬉しさはあるのだけれども、それを表情に出すことはできない。


「Aちゃん、どうしたの?なんだか元気ないね。」

「ごめん。なんだかわたしが学校に来たのが嫌な人もいるみたいだからさ…。」


フェリシアーノのほかにも話しかけてくれる人はいた。けれどそれは心配から来る言葉ではないことをわたしはちゃんと知っている。


みんなは受験生。これからの1年が肝心なのだ。そんな時に、わたしのようにインフルエンザにかかったらどうなるだろう?


みんなは自分の受験に少しでも害になるものは避けたいのだ。


こうしてわたしがインフルエンザを治して医師から診断書を貰って登校しても、感染させられるのではないかという疑惑が隠せないのだろう。まるでばい菌扱い。わたしはみんなの病原菌。


「ヴェ?俺はAちゃんに会えて嬉しいけどなぁ。」

「優しいことを言ってくれるんだね。でも大丈夫だよ。こういうことには慣れてるから。」


集団に馴染めず、つまはじきにされるのはこれが初めてではないし、またこれが終わりというわけでもないだろう。


「そんなこと言っちゃダメだよ。」


フェリシアーノはちょっぴり寂しそうに俯いてそう言った。


「悲しかったら俺に言ってよ。そうやって“慣れた”って言いながら悲しい目をしてるAちゃんを俺は見たくないんだよ。」


教室の喧騒がフェリシアーノの言葉にかき消されてゆく。


「つらかったら無理しないでね。我慢してばかりだと、心が風邪を引いちゃうよ…?」

立:「全力少女」→←普:「グラウンドの告白」



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設定タグ:APH , ヘタリア , 学園ヘタリア   
作品ジャンル:アニメ
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桜葉 - スノーデイさんの小説はどれも素敵ですね!これからも頑張ってください応援してます! (2017年10月28日 11時) (レス) id: e19bf62fb6 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!これからもそう言っていただけるように頑張ります。 (2016年4月28日 14時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - スノーデイさんの小説はどれも素敵で読みやすいです!これからも応援しています!(*^_^*) (2016年4月26日 20時) (レス) id: 8dc6dca93f (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - ルネさん» ありがとうございます。しかしわたしはまだまだなのでもっと読みやすい文章が書けるように努力します。 (2016年4月1日 23時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ルネ - 文章全てが綺麗でわぁ青春だなぁと思えるようなものばかりで素敵です。 (2016年4月1日 20時) (レス) id: 97fe96e6af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スノーデイ | 作成日時:2016年3月10日 21時

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