第４話「それから」 ページ4
あれから何年もが経った。
フェリシアーノとは電話で話すことはあっても、わたしの元を立ち去った日以来会ってはいない。
それでもわたしは絵を描き続ける。
教室でノートの隅っこに、シャーペンで何度も描いては消して、消しゴムで伸びてグシャグシャになった汚い絵を。
「A。これ見ろよ。」
「どうしたのロヴィーノ？」
ロヴィーノとはあれから恋人になり、一緒の学校へ進み、クラスも同じだ。
席はかなり離れているけれど。
「何って、いつもの通帳だよコノヤロー。今月のバイト代、きちんと入ってるだろ？」
「うん。今月も頑張ったね、お疲れさま。」
これが毎月の習慣。ロヴィーノは自分が稼いだバイト代を必ずわたしに見せてくれる。そして自分のために使うことはない。
「そんなに貯まってるんだから何かに使えばいいのに。」
「Aのためになら使うけどな。」
「そうじゃなくて、ロヴィーノが頑張って稼いだお金なんだから。自分のために使いなよ。」
「いいんだよ、俺のことは。こんちくしょうめ。」
いつもロヴィーノはそう言って自分のためには使おうとしない。わたしには喜んで使ってくれるのに。
それを不思議に思いつつ、わたしは消しゴムのカスを机の上から払いのけた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヘタリア」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スノーデイ(プロフ) - emiさん» いつも閲覧していただいてありがとうございます。月並みの表現だろうと何だろうと嬉しいですよ(*'ω'*)コメントありがとうございました！ (2016年4月6日 22時) (
レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - いつも読ませて頂いています！月並みの表現で申し訳ないのですが、凄く感動しました...( ; _ ; )これからも応援しています！ (2016年4月6日 6時) (レス) id: 1ef7c07bca (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - 優莉さん» 乏しいだなんてとんでもないです！その優しいコメントでこちらの心も温かくなるような気分です。閲覧してくださってありがとうございました！ (2016年2月15日 17時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
優莉(プロフ) - 一気に読みました！じんわりと心が温かくなるようなお話でした！私の乏しいボキャブラリーでは言い表せられなくてとても歯痒いのですが、とてもおもしろかったです！！完結おめでとうございました^^ (2016年2月15日 17時) (レス) id: 3af9d30ea5 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - 月夜さん» 閲覧ありがとうございます。ご期待にそえられるように頑張ります！ (2016年1月23日 14時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スノーデイ | 作成日時：2016年1月23日 1時
