第17夜「桃を求めて」 ページ17
イースの一声で景色はガラリと変貌し。
目の前に現れたのは大きなお屋敷。
そしてゴツゴツした岩に囲まれた温泉だった。
「ここに行けば桃がもらえるの？」
「そうだよ。行ってきて。」
イースの言葉に従って岩のほうへ近付くと、わけのわからない鼻歌が聴こえてきて、水をパシャパシャする音が聞こえる。
星ひとつない暗い夜空なのに、温泉のお湯は白濁色に光っている。
なんとも異様な光景だけど、その湯けむりの向こうに人の姿が見えた。
「あのー…すみません。」
「あいやぁ！！いきなり何あるか！」
温泉から出て慌てる仙人・耀。
桃がほしいことを伝えると、バスタオルを巻きながら何やら文句を言っていた。
「人の入浴中に来るんじゃねぇあるよまったく…。せっかく良い自作の鼻歌が思いついてたあるのに、忘れちまったじゃねぇあるか。」
ああ、あれ自作だったんだ。
道理で変な鼻歌だと思った。
「こうして来てくれたのはありがたいあるけど、我を困らすんじゃねーある！」
「ああ、うん。ごめんなさい。」
バスタオルの姿のまま、耀は三つか四つほど桃をカゴに入れてくれた。
頼んでもいないのに何かと世話を焼いてくれて、イースと一緒に魔法の呪文が書かれている書物までくれた。
わたしにはその文字が読めなかったけど、イースには読めるらしい。
「で、いくらくれるあるか？」
「お金取るの？！」
タダでくれると思っていたのに！
「Aはお金を持ってないみたいあるね。そっちのお前はいくら持ってるあるか？」
「1000クローナならあるけど。」
「馬鹿言うんじゃねぇあるよ！」
耀は笑いながら言ってたけど、結局それをもらって後ほど元に替えたらしい。
これで桃は手に入ったけれど、このあとはどうしよう…。
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匿名 - すごく良かったです。表現が綺麗で引き込まれました (2021年9月26日 5時) (
レス) @page30 id: 08e03ad312 (このIDを非表示/違反報告)
諷加 - すごくいい作品でしたスノーデイさんの小説はほとんど読んだけどどれも素敵ですね応援してます！ (2017年11月28日 16時) (レス) id: e19bf62fb6 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - すっっっっごくいい作品ですっ！一発でファンになれます！これからも頑張って下さいね！(*≧∀≦*) (2017年4月25日 6時) (レス) id: ccfee82074 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 世界観がたまらんっ！ (2017年4月16日 10時) (レス) id: db5660f2cb (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - リンアさん» 閲覧ありがとうございます。わたしは書きたいものを思いついたままに適当に書いていることが多いのですが、それでもそう言っていただけるととても励みになります。コメントありがとうございました。 (2016年4月5日 0時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スノーデイ | 作成日時：2015年7月21日 13時
