第43話「愛」 ページ45
そしてだんだん地球は元の姿を取り戻していった。
50年経ち、60年経ち、70年、80年と経ち、そして迎えた100年目。
「順調だな。」
「うん。アーサーにも変わりはないみたいだしね。」
菊がいない隙に、アーサーはわたしの手を握る。その温もりがわたしを強くしてくれる。
「傷だらけだな、Aの手は。」
「アーサーだって同じじゃない。」
「俺はどうでもいいんだよ。」
いつもわたしの心配ばかり。自分のことは後回し。
「何かのアニメの台詞で、こんな言葉があったっけ…。“傷だらけの手は、働き者の立派な手”だって。」
わたしはよく菊と見ていたアニメを思い出す。
「それにこうも言ってた。“水と風は100年かけて森を育てる。でも火は1日で森を灰にしてしまう”って。」
今の地球にぴったり当てはまる言葉だ。
「アーサー。」
もうすぐ時間がやって来る。
「無理しないでね。つらくなったら無理せず休んで。わたしにできることなら何でもするから。」
アーサーには一秒でも長く生きてほしい。
「無理したことは一度もねえよ。俺はこれでいいんだ。」
ギュッと強く抱きしめてくれるアーサーの体が、前よりずっと痩せた気がする。いつも抱かれているからわかる。
「Aが笑ってくれさえするなら、どんな苦労もつらくない。Aが側にいるなら、俺は…」
それ以上の言葉は要らない。
わたしには、アーサーのその気持ちだけで十分だもの。
アーサーの愛はよくわかったよ。
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スノーデイ(プロフ) - 私は日領こと露領(靴下)こと世界領((←さん» ありがとうございます。今は“まだ”ですがそのうちどうなるかと思うと怖いですよね。戦争を起こさないためにはどうしたら良いのかを考える切っ掛けになったのなら嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2016年2月22日 21時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
私は日領こと露領(靴下)こと世界領((← - とても感動しました。戦争という事についてとても深く考えさせられる、とても素晴らしい作品でした。今は “ まだ ” 起きていない第三次世界対戦や第四次世界対戦、第五次世界対戦など、戦争について改めて一から考える切っ掛けとなりました。有り難うございました。 (2016年2月22日 20時) (レス) id: d4b1972073 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - にゃん。さん» 閲覧ありがとうございます。でも全然素晴らしくなんかないですよ。考察とかけっこう曖昧なところがあるので。それでもこうして丁寧なコメントを下さって本当に嬉しいです。これからも頑張ります。 (2015年12月17日 19時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
にゃん。 - 小説、全て読ませていただきました。戦争という難しい、そして悲しいテーマでこれほどまで素晴らしい小説を書かれたことに非常に感動しました。それはもう思わず涙を流してしまうほどには。素敵な作品を本当にありがとうございました。これからも楽しみに待っています (2015年12月13日 14時) (レス) id: 3296dfbe0f (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - あかいそらさん» コメントありがとうございます!これからも感動してもらえるような作品が書けるように頑張ります! (2015年5月9日 2時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スノーデイ | 作成日時:2015年3月26日 23時