第13話「午後3時」 ページ15
よく晴れた午後3時。
今日は会いたい人がいる。
「耀、久しぶり。」
「またAあるか。」
あまり来てはならないと言われたけど、やっぱり心配で来てしまう。だって未だに消失の危機に晒されているんだもの。
「今日は何の用あるか。くだらない用事だったら今すぐ帰るよろし。ここはただでさえ危険なとこあるからな。」
「今日は聞きたいことがあるの。」
どこか遠くから車や電車の通る音が聞こえてくる。それは風と共に運ばれる人々の暮らしの音…。
「また昔みたいにならないかな?みんな関係がぎすぎすしてるのがわたしにもわかるんだ。」
どの大戦の前もそうだった。
「耀は昔からイヴァンやアルフレッドと仲が良いでしょ?二人から何も聞いてない?」
冷戦状態の時は、必ずと言っていいほどアルフレッドとイヴァンが対立する。どちらも一二を争う大国だから、それなりに自信もあるんだろう。
その自信こそが危険だというのに。
そしてイヴァンやアルフレッドにくっついている人たちは二人の意見に従うしか道はない。逆らえば生きていけない。それは“命を奪われる”という意味じゃなくて、生活するのに欠かせない資源や経済制裁をされるから…という意味。
「言っとくあるが、我はあいつらにとっても世界にとっても外の人間ある。もはやそれは部外者あるよ。」
「うん。知ってるよ。どんなことでもいいの。何か知らない?噂でもいいんだ。」
わたしは何としてでも戦争を避けたい。
「じゃあ言うあるが…」
耀の重い口が開かれる。
「アルフレッドが宇宙の技術でプラズマ兵器を作ろうとしてるある。 非常に危険あるね…。」
「アルフレッドが?」
「でも勘違いすんなある。あいつはAが思っているほど悪党ではねぇある。」
「どうして?何度も戦争が起こる原因を作ってきた人なのに?」
「A、あいつが憎いあるか?」
核心を突かれたな、と思った。
「…まあ、無理もないあるね。Aも菊も、ずっとあいつに頭を押さえ付けられているようなものあるから。」
耀は遠くの空を見上げて呟く。
「アルフレッドもイヴァンも悪党じゃないってこと、そのうちきっとわかるある…。」
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スノーデイ(プロフ) - 私は日領こと露領(靴下)こと世界領((←さん» ありがとうございます。今は“まだ”ですがそのうちどうなるかと思うと怖いですよね。戦争を起こさないためにはどうしたら良いのかを考える切っ掛けになったのなら嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2016年2月22日 21時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
私は日領こと露領(靴下)こと世界領((← - とても感動しました。戦争という事についてとても深く考えさせられる、とても素晴らしい作品でした。今は “ まだ ” 起きていない第三次世界対戦や第四次世界対戦、第五次世界対戦など、戦争について改めて一から考える切っ掛けとなりました。有り難うございました。 (2016年2月22日 20時) (レス) id: d4b1972073 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - にゃん。さん» 閲覧ありがとうございます。でも全然素晴らしくなんかないですよ。考察とかけっこう曖昧なところがあるので。それでもこうして丁寧なコメントを下さって本当に嬉しいです。これからも頑張ります。 (2015年12月17日 19時) (レス) id: cb443af24c (このIDを非表示/違反報告)
にゃん。 - 小説、全て読ませていただきました。戦争という難しい、そして悲しいテーマでこれほどまで素晴らしい小説を書かれたことに非常に感動しました。それはもう思わず涙を流してしまうほどには。素敵な作品を本当にありがとうございました。これからも楽しみに待っています (2015年12月13日 14時) (レス) id: 3296dfbe0f (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - あかいそらさん» コメントありがとうございます!これからも感動してもらえるような作品が書けるように頑張ります! (2015年5月9日 2時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スノーデイ | 作成日時:2015年3月26日 23時