最終話「その後」 ページ49
その後の後日談としては、不況なのは相変わらずだけど、家の中は明るかった。
ノーレとイースの兄弟仲もいいし、ティノもベールもダンもピーターも、みんな幸せそう。
でもわたしにはノーレについて疑問がある。
「ねぇノーレさん。雪山で遭難した時、どうしてわたしにキスをしたの？」
ノーレは少し考えてからこう言った。
「そったもん、決まってるべ。あん時のAがめんこかったからだ。」
「まさか！冗談はやめてよ。」
ノーレはプレイボーイかそうなのか。
「ちょっとノーレ。Aに近付き過ぎ。」
Aは僕のものなんだから、とイース。
まさかナイフを持って侵入してきた相手がわたしの運命の人だっただなんて、人の出会いは不思議なもの。
「A、今日はAに見せたいものがあるんだ。」
「あら、なあに？」
「これ…」
イースが差し出したのは、雪の結晶の形をしたペンダント。
「Aに似合うと思って。」
「わたしにくれるの？」
「もちろんだよ。」
「本当？嬉しい、ありがとう！」
わたしは思わずイースに抱きつく。
「俺たちみんなで金ば出し合ったんだ。」
「ちょっと！なんでそれを言うの！」
ノーレの暴露に慌てるイース。それを離れて見ているティノたちは笑っている。
「今思えばAが来たことで俺たちの人生、大ぎく変わったなぁ…。俺はあの山の麓の教会さ、ずーっと繋ぎ止められて過ごすもんだと思ってたのによ。」
ノーレは懐かしそうに語り出す。貧困ゆえの決断だったことも、今ではいい思い出。
「そうですね。僕たち、お金にだけは縁がなかったんですからね。」
ティノも当時の状況を振り返っていた。
「まあ、一度貧乏になると抜け出せねぇもんな。鎖で繋がれたみてぇに。」
ダンの言葉にも一理ある。
「ティノの言葉が、現実になったなぃ。」
ベールに言われて思い出した。
『どんなに冷たい心臓でも燃え上がる』『大きな雪の塊も溶けていく』って。
ノーレの心もイースの心も、今では溶けてすっかり燃え上がったように温かくなっていて、前の辛辣な様子はどこへやら。
「前はいろいろあったけど…A。」
「なあにイース？」
「愛してるよ。」
イースはそう言ってわたしに口づけをした。
これまでにないほど平和な日。
過去に縛られていた昔が嘘のようになった時、みんなを苦しめていた元凶…。
氷の鎖が解けた。
〜完〜
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
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スノーデイ(プロフ) - メガネさん» 返信が遅れてすみません。これは初めての作品なので、上手く出来てはいないと思っていましたがそうおっしゃっていただけて嬉しいです。ありがとうございます。 (2015年8月27日 0時) (
レス) id: ded5f9c70d (このIDを非表示/違反報告)
メガネ - 今まで読んできた完結している話の中で一番綺麗に終わっていると個人的に思いました!!とても感動的で読みやすかったです (2015年8月13日 0時) (レス) id: bdcbed7f1b (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - メーア＝シュネー＠日帝受け推奨委員会さん» спасибо！(^し^)☆ (2015年4月6日 1時) (レス) id: 34f11f5ff1 (このIDを非表示/違反報告)
メーア＝シュネー＠日帝受け推奨委員会(プロフ) - いい話だ……。 (2015年4月5日 23時) (レス) id: dcebb3bde5 (このIDを非表示/違反報告)
スノーデイ(プロフ) - 柚旗さん» コメントありがとうございます。そんなふうに言っていただけるとは思っていなかったので、こちらこそ何度もコメントを読み返して泣きそうになります(笑)読んでくださったばかりでなく、コメントまで本当にありがとうございました。 (2015年1月8日 5時) (レス) id: ded5f9c70d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スノーデイ | 作成日時：2014年12月19日 18時
