転校生と生徒会長4 ページ37
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藤原先生が教室に入っていき、ホームルームが始まった。私は廊下で声がかかるのを待っているところだ。教室の中のざわついた空気が伝わってくる。
転校生といえばこうやって担任が声をかけて入室するのがお約束だけど、こういう演出ってむだに緊張するっていうか……この廊下に立っている間にやたらとナーバスになってしまう。
落ち着け、中学生の子供相手になにも緊張することなんてない。舐められなければそれでいいんだから、笑顔で普通の自己紹介をすればいいんだ。
「A、入ってきてくれ」
「！」
くぐもった声が扉越しにかけられた。どきどきしながらドアを引いて、教室に足を踏み入れる。
――わあ、なんだか懐かしい。
ざわざわと物珍し気に私を観察するクラスメイトたち。クラスルームは、思っていたより普通で、うっかり郷愁の念が少しだけこみ上げてきた。
学校の大きさや応接室から、もっとコテコテのドラマみたいなお金持ち学校みたいな想像をしていたのだ。
もちろん、設備は新しく綺麗に揃っているけれど、なんとなく母校の高校に似た教室風景に安心したのか、緊張していた心が和らぐのを感じる。
「黒板に名前を書いて」
藤原先生が差し出したチョークを受け取り、黒板になるべく読みやすいよう名前を書いて振り向いた。ゆっくりと息を吸い込む。
「――AAです。中谷区の公立中から来ました。趣味は新作フラぺコンプです！ みなさんと早く仲良くなれたら嬉しいです、よろしくお願いします」
なるべく明るい声でなるべく人好きのしそうな笑顔で、教室を見渡しながら簡単な自己紹介。一拍置いて、クラスメイト達の拍手。ノリの良い子のよろしくーという声やチャラそうな男子の彼氏いますかーとかいう声が混ざって、なかなかの歓迎ムードだ。
ひとまず掴みはこれでオッケーだろうか。
「じゃ、Aは真ん中の列の後ろの席だ。君たち、質問攻めはホームルームが終わってからにしなさいね」
「あはは、はあ〜い」
自分の席に向かう道すがらでクラスメイトがよろしくねと声をかけてくれる。
席に着くと、周りの生徒たちが落ち着かな気にこちらをちらちらと見てきたり小声で挨拶してくれる中に、ひと際異質な男子の声が混じっているのが分かった。
低く落ち着いて、少し艶のある中学生らしからぬ声。
「手塚だ。よろしく頼む」
「あ、……さっき、スピーチしてた生徒会長さんだね。こちらこそ、よろしくお願いします」
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天葉 - 凄く面白いです！よく見かけるトリップモノとはまた違った面白さを感じました。オトナな夢主に原作で大人扱いされてた子が甘やかされてるのとかキュンとしそうです！若返りで勉強が…というのがリアルで思わず笑いました。応援してます♪ (2021年3月30日 15時) (
レス) id: 623fd23513 (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - 小冬さん» 面白いと言ってもらえてとても嬉しいです！ 更新頑張ります。 (2020年10月10日 12時) (レス) id: 690c44789e (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - 飽き性で更新停滞させてすみません……書きたいエピソードたくさんあるので、またぼちぼち更新します。 (2020年10月10日 12時) (レス) id: 690c44789e (このIDを非表示/違反報告)
小冬 - 久しぶりに、面白い小説に出会えたぁぁぁ！！！頑張ってください、応援してまぁす☆ (2020年10月2日 22時) (レス) id: b394ae1541 (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - におーさん» 応援のお言葉ありがとうございます！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 66db041f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太田 | 作成日時：2018年3月19日 18時
