Side:O 春一番の君3 ページ22
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「まったく、アイツらには困ったものだなあ……」
──ああいうノリは少しばかり苦手だ。
俺はトイレで少し時間を潰してげんなりと独りごちていた。知り合いの大人のスキャンダルめいた状況に、興味をそそられて盛り上がってしまう気持ちが分からないわけじゃあない。でも、あんな風に面白がって騒ぎ立てるのは本人たちに対して失礼じゃないか……なんて、言ったって簡単に分かってはもらえない。英二あたりにノリの悪いヤツだとかからかわれておしまいだろう。
──英二も不二も乾も、良いヤツらだけど悪ノリするところがあるんだよなあ……。
それでも、諦めてろくに制止もしないなら俺だって同罪だ。戻ってもやめていなかったら次こそちゃんと止めよう……副部長として、俺には責任があるんだ！
意思が固まって、少し気合いを入れ直してトイレを出ようとした──その時、扉の外から揉めているような話し声が聞こえてきた。
「ねェ、いーじゃんちょっとくらい……」
「ちょっと、通してくださいっ」
ナンパだろうか？ くぐもって断片的にしか聞き取れないが、声は男女のものだ。トイレに繋がる細い廊下で、女性を通さないように出口を塞いでいるんだろう。
俺はためらいなく扉を開けて、割って入るため様子を見る。そこでは若い男が、嫌がる女性……というよりは少女の肩に腕を回して、その二の腕を撫で回していた。
「ね、あのオッサンにいくら貰ってんの？ ちゃんと上乗せするからさァ」
「だから、そんなの貰ってないですっ」
「隠さないでいーって！ ちゃんと顔隠すからさァ、チョットだけ撮らせてよ。ね？」
──なんだこれは。ナンパよりもっとタチが悪いじゃないか！
「やめないかっ！」
居ても立っても居られず出した声は張り詰めて、下衆な男の声に被さった。
「あ？ なんだガキじゃん。邪魔すんじゃねェよ……」
「困っているじゃないか、その人から離れて下さい。これ以上続けるなら通報しますよ！」
俺が携帯を取り出そうとポケットを探ると、男はあからさま面倒そうな顔になる。
「チッ！ カッコつけやがって……」
言うが早いか、男はイラついた様子で足早に立ち去ろうとする。
その逃げ去りついでと言わんばかりに、男の抱いていた少女の肩が、乱暴な素振りでドンッと突き飛ばされた。
「ひゃっ！？」
「あぶなっ……！」
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天葉 - 凄く面白いです！よく見かけるトリップモノとはまた違った面白さを感じました。オトナな夢主に原作で大人扱いされてた子が甘やかされてるのとかキュンとしそうです！若返りで勉強が…というのがリアルで思わず笑いました。応援してます♪ (2021年3月30日 15時) (
レス) id: 623fd23513 (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - 小冬さん» 面白いと言ってもらえてとても嬉しいです！ 更新頑張ります。 (2020年10月10日 12時) (レス) id: 690c44789e (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - 飽き性で更新停滞させてすみません……書きたいエピソードたくさんあるので、またぼちぼち更新します。 (2020年10月10日 12時) (レス) id: 690c44789e (このIDを非表示/違反報告)
小冬 - 久しぶりに、面白い小説に出会えたぁぁぁ！！！頑張ってください、応援してまぁす☆ (2020年10月2日 22時) (レス) id: b394ae1541 (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - におーさん» 応援のお言葉ありがとうございます！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 66db041f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太田 | 作成日時：2018年3月19日 18時
