心に装甲を ページ19
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井上さんがドリンクバーから持って来てくれた暖かい紅茶をゆっくりと飲んだ。血の気が引いたような身体が少しだけ緩むような感覚がする。
「ごめんなさい……」
何度目かの謝罪を口にすると、喉が引きつった。気まずさから視線を上げられなくて、誤魔化すようにもう一口、紅茶を飲む。
忘れていたが、ここはファミレスの一角で私は見た目女子中学生で井上さんは30代男性だ。どんなに気まずかったか、想像するだけで穴を掘って逃げ込みたくなる。
「Aちゃん、謝るのは僕の方だよ。君が落ち着いて大人びているからって、辛い思いをしている子に事務的な話ばかり……気持ちの良いものじゃなかったよね」
「そんな、必要な事ですし、お世話になるのは私なのにすごく気を遣っていただいてますから……。ありがたいです」
私が申し訳なさそうにそう言うと、井上さんは驚いたな、と眉を上げて私をしげしげと眺めた。
まずい、ちょっと中学生に出来る言葉遣いではなかったかもしれない。
「あ、そ、その、すみません。ちょっとお手洗いに……」
「ああ、もちろん。どうぞ」
泣き腫らした顔をどうにかしたい。休憩と作戦会議も必要だ。
私はポーチを手に席を立った。
──
「……ふう」
清潔感のある女子トイレの鏡には、泣いた後だとはっきりわかるむくんだ瞼に赤い目の幼い私がいる。
ハンカチを濡らして、少し目を冷やしながら考えを巡らせた。
とにかく、自分の境遇を憂うにしたって今はだめだ。井上さんにはもう一度謝りつつ、もう少し中学生らしく振る舞う努力もしなければ。
携帯用のスプレーボトルに入れた化粧水を顔に振って馴染ませる。
でも、子供っぽくしすぎると一人暮らしも維持できなくなるかもしれない。適度に大人びた子供でなくては。……そんな演技、どうしたらいいのか。
小さなクリームケースの美容液を指先に取って、上下の瞼を優しくマッサージしつつ保湿をする。
なにか良いお手本があるとやりやすいんだけどな。大人びた中学生か……。
美容液が馴染んだらBBクリームで目元の赤みを隠した。ついでにビューラーでまつ毛を上げ、マスカラベースの透明マスカラだけ使っておく。
そういえば、この漫画のキャラクター達はとても中学生には見えないほど心身共に成熟してたはずだ。……ということは、ある程度やり過ぎてもこの世界基準ではおかしくはない、のかな？
仕上げにベリーピンクのリップチークを気持ちだけ唇に乗せた。
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天葉 - 凄く面白いです！よく見かけるトリップモノとはまた違った面白さを感じました。オトナな夢主に原作で大人扱いされてた子が甘やかされてるのとかキュンとしそうです！若返りで勉強が…というのがリアルで思わず笑いました。応援してます♪ (2021年3月30日 15時) (
レス) id: 623fd23513 (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - 小冬さん» 面白いと言ってもらえてとても嬉しいです！ 更新頑張ります。 (2020年10月10日 12時) (レス) id: 690c44789e (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - 飽き性で更新停滞させてすみません……書きたいエピソードたくさんあるので、またぼちぼち更新します。 (2020年10月10日 12時) (レス) id: 690c44789e (このIDを非表示/違反報告)
小冬 - 久しぶりに、面白い小説に出会えたぁぁぁ！！！頑張ってください、応援してまぁす☆ (2020年10月2日 22時) (レス) id: b394ae1541 (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - におーさん» 応援のお言葉ありがとうございます！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 66db041f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太田 | 作成日時：2018年3月19日 18時
