叫べぬ痛み ページ17
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「家も学校も変わるから、慣れるまで大変だろう。僕が生活監督で定期的にAちゃんの様子を見に行くっていう都合上、どうしても必要だったんだけど……受験生なのに環境が変わるのは大変だよね、申し訳ない」
「受験……」
「ああ、もちろん青学の高等部に進学だって出来るよ。内部受験はあるけど、Aちゃんは編入試験も受かったし問題ないだろう。青学じゃなくても好きな進路を選んで良い。学費は元々ご両親が君のために十分用意して下さっていたようだから」
「はい……ありがとうございます」
「それで、これからの生活だけどね。さっき言ったように週に一度は僕が様子を見に行くってことになっていて……女の子だし、抵抗があるだろうけどいきなり同居なんてなるよりはマシだろう？ 僕も抜き打ちみたいにいきなり部屋に行ったりはしないようにするから、構えずに生活できると思う。この数日の暮らしはどう？ 家事は大変かい？」
「あ、特には……えっと、家で手伝いとかはしてたので、困るようなことは今のところないです」
トントンと進んでいく話に遅れないよう、変な答えを返さないように集中して聞くほどに、生活が一変してしまった事をまざまざと痛感させられた。それを受け入れたくない本心とは裏腹に、とりあえずこの場を丸く収めたい、事なかれ主義の大人の精神が出しゃばってくる。
本心では泣いて叫んでこの現実を否定して逃げ出したいと、自覚したとたんに溢れてくる感情を抑えつける心臓が、ギシギシ締め付けられるみたいに苦しい。
シレッとした顔で受け答えをしているつもりだが、逃げ場のない感情が今にも表情に漏れ出しそうで、つらい。井上さんに気遣うような態度をされる度にみじめな気持ちが込み上げて、理不尽に喚き散らしそうになる。
助けて。助けてくれないなら放っといて。こんな相談、したくない。これからの生活なんて考えたくない。帰らせて。家族や友達に会いたい。元の生活を返してよ。私の人生を、返してよ。
「──Aちゃん？」
喉の奥が痛くなって、こめかみがギュッと締め付けられるみたいだ。俯き加減の前髪に隠した目に限界まで溜まった涙が、とうとう溢れた。
「あ、ご、めんな、さ……っ」
一粒落ちたらもうおしまいで、ボタボタとこぼれる水分が憎らしい。泣きたくなんてないのに、とても止められそうにないのだ。
「う、う〜〜っ」
「Aちゃんっ、だ、大丈夫かい……すまない、なにか嫌なことがあったかな」
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天葉 - 凄く面白いです！よく見かけるトリップモノとはまた違った面白さを感じました。オトナな夢主に原作で大人扱いされてた子が甘やかされてるのとかキュンとしそうです！若返りで勉強が…というのがリアルで思わず笑いました。応援してます♪ (2021年3月30日 15時) (
レス) id: 623fd23513 (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - 小冬さん» 面白いと言ってもらえてとても嬉しいです！ 更新頑張ります。 (2020年10月10日 12時) (レス) id: 690c44789e (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - 飽き性で更新停滞させてすみません……書きたいエピソードたくさんあるので、またぼちぼち更新します。 (2020年10月10日 12時) (レス) id: 690c44789e (このIDを非表示/違反報告)
小冬 - 久しぶりに、面白い小説に出会えたぁぁぁ！！！頑張ってください、応援してまぁす☆ (2020年10月2日 22時) (レス) id: b394ae1541 (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - におーさん» 応援のお言葉ありがとうございます！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 66db041f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太田 | 作成日時：2018年3月19日 18時
