ショートケーキとさっぱりゼリー5 ページ14
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裕太くんが慣れた様子で注文を済ませるとすぐカフェエリアのテーブルへ案内され、注文の品はそう待つこともなく運ばれて来た。ケーキは私、ゼリーは裕太くんの前に置かれたが。
「何回か来てんのに」と憮然とするこの少年が可愛くて、クスクスと笑いながらお皿を交換してあげる。気を取り直してケーキに手を付けだすと、その機嫌はみるみるうちに急上昇していった。
裕太くんは単純で中学生らしくて可愛いし、口は悪いっぽくても中学生男子特有の不躾さがあまり無い。きっと育ちが良いんだろうなあ。ご両親の躾の賜物だろう。
私もゼリーに口を付けて、美味しいねと言い合いつつ雑談を振った。
「裕太くんは何人家族？」
初対面の相手と一対一でカフェとくると、話題の突破口に困る。下手をするとお見合いのようになりかねないので気を付けて、当たり障りの無さそうな話題を自然に振るのが大人のスキルだ。
「五人。親と、姉貴と……兄貴。Aは？」
「私は……ひとりっ子なの。お兄さんお姉さん羨ましいなあ」
本当は兄が一人いる。でも、こちらの状況では天涯孤独みたいなもんだ。どちらを正直に話したとしても空気を悪くしてしまうなら、嘘も方便でしょう。……ということにしておいてくれ。
「良くねーよ、何かと構って来たり周りから比べられたり。特に兄貴とはとしごだから色々めんどくさいんだぜ」
「へえ〜男兄弟はそういうの大変そうだねえ」
「ああ、マジでうんざりしてんだ。だから学校も兄貴とは違うとこに変えて──」
鬱憤が溜まっているのか、兄貴トークは長引きそうな感じだ。結構なコンプレックスなんだろうなあ。
私はわりと兄妹仲が良かったのでお兄さんに少し同情してしまう。聞いていると、お兄さんの方は裕太くんを可愛がっているみたいだし(裕太くんからしたらそれがまた苛立つみたいだけど)裕太くんもなんだかんだでお兄さんを尊敬してるような台詞もちょいちょい出てくる。
どうやら裕太くんもそのお兄さんもテニスをしていて、そのレベルも中々高いらしい。……また、テニス。なんだか嫌な感じがするな。
「──A？ どうかしたか？」
えっ。しまった、思考が余計な方向へ。
「あ、ううん。ごめんねボーッとしちゃって」
「いや、俺こそ悪い。会ったばっかでこんな愚痴ばっか」
申し無さげに視線を下げる裕太くん。私は慌てて良いんだよと手を振った。
「……でも、その内またお兄さんと仲良くなれるといいね」
「は？」
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天葉 - 凄く面白いです！よく見かけるトリップモノとはまた違った面白さを感じました。オトナな夢主に原作で大人扱いされてた子が甘やかされてるのとかキュンとしそうです！若返りで勉強が…というのがリアルで思わず笑いました。応援してます♪ (2021年3月30日 15時) (
レス) id: 623fd23513 (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - 小冬さん» 面白いと言ってもらえてとても嬉しいです！ 更新頑張ります。 (2020年10月10日 12時) (レス) id: 690c44789e (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - 飽き性で更新停滞させてすみません……書きたいエピソードたくさんあるので、またぼちぼち更新します。 (2020年10月10日 12時) (レス) id: 690c44789e (このIDを非表示/違反報告)
小冬 - 久しぶりに、面白い小説に出会えたぁぁぁ！！！頑張ってください、応援してまぁす☆ (2020年10月2日 22時) (レス) id: b394ae1541 (このIDを非表示/違反報告)
太田(プロフ) - におーさん» 応援のお言葉ありがとうございます！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 66db041f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：太田 | 作成日時：2018年3月19日 18時
