どうやら社長解放されたようです (ページ4)

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「社長…先程は大変失礼いたしました」

なぜ謝らなければならないのかよくわからなかったがとりあえずおざなりの謝罪をすませる。
後部座席でふんぞり返って唇を尖らせているボスの顔は最高に不機嫌であった。

「本日の業務は終了ですが本社に戻りますか？直帰なさいますか？」

返事はない。
特に動揺することなく二宮は運転手に直帰するよう伝える。

実はこの時大野は考えていた。
不貞腐れながらも櫻井に言われたことを真剣に受け止めていたのだ。
だがいかんせん自分は流行りものに疎い。
若い世代の好みそうなことなんて全くわからなかった。

カジュアルレストランか……
リーズナブルな価格でホテルの質を落とさないような料理なんて提供できるのか？
こうなったらまず自分でリサーチしてみるしかないな…

「降りる。そこに停車しろ」

「はっ…はい」

運転手は言われるまま路肩に車を停車した。

「どうかされましたか？」

「腹が減った。今夜はあの店で食べて帰る」

そう言うやいなや大野は自らドアを開け”あの店”とやらにズンズンと向かって行った。

「社長どこ行かれるんですか?!」

二宮が急いで助手席から飛び降りた。

「うるさい着いてくるな！ニノ達はもう帰っていいぞ帰りはタクシーでも拾う」

「また勝手なことを…」

「まァ…いつものことです。こちらで待ちましょう二宮さん」

ベテランドライバーの城島が穏やかな声で呟いた。
振り向くことなく去りゆく背中を二宮は恨めしそうに眺めることしかできなかった。