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ソファに並んで座る二人は 当たり前のように身体を密着させて寄り添っていた。
さっきまで 真っ赤な顔で戸惑っていたはずの大野が 少しずつ慣れてきたようで 時折 松本に甘える素振りを見せはじめる。
自覚なくやっているのだとしたら かなりの小悪魔気質だなと思いながら彼のしたいようにさせていた。
「…智って いい名前だな…」
「潤だって いい名前だよ」
隣りに座る松本から初めて”智”と言われ 胸がキュンとする。
松本の澄んだ声が耳に心地いい。
大野はもっと自分の名前を呼んで欲しくなった。
「…もう一回…智って言ってくれる…？」
「………智……」
さきほどよりも低い声で 囁くように大野の耳元で囁く。
「オレも…潤って…呼んでいい…？」
問いかけながら松本に顔を傾けると 二人の息がかかる距離まで接近する。
目線の先はお互いの唇。
それはまるで付かず離れずの磁石のように 迷いながらゆらゆらと空間をさまよった。
「……いいよ……あ…いや……やっぱ……
…潤くん…が…いいな…」
「…潤…くん…んっ…」
その言葉を封じ込めるように 松本は自分の唇で密閉する。
大野がこの部屋を出るまでの僅かな時間 二人は飽きるまでそんな甘いキスを繰り返していた。
「ニノ！大河原のオヤジとの会食 向こうの都合に合わせとけ。 ああ…キレイどころも忘れずに2〜3人用意しとけよ」
「…はい…すぐ手配します…」
「それと… 明日の予定で 今日にまわせるものあったらスケジュール組み直してくれ」
「明日は…モールの現地視察の予定ですが…」
「可能なら 今日か…… ダメなら明後日に組み直しといてくれるか？」
「…調整してみます…」
朝 いつものように迎えに来てみると わかりやすいぐらいにハイテンションな大野が意気揚々とエレベーターから降りてきた。
車に乗り込んだら乗り込んだで 鼻歌を歌い始め 携帯の画面を眺めてはニタニタと笑みを浮かべるという光景がバックミラー越しに繰り広げられた。
こんな状態 誰が見ても違法のクスリに手を出したか ”松本潤”に会ったかの二択しか考えられないだろう。
まぁ 当然 後者なのだが…
昨夜 大野がこの部屋を空けていた事は二宮も確認済みであった。
とくにその足取りを追わなかったのは どうせ松本のところへ行っているということがわかっていたから。
密かにため息をつく二宮の胃がキリキリと痛んだ。
”とりあえず 即効性の高い胃薬に変えよう…”
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作者名：hikari | 作成日時：2020年6月6日 4時
