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”ステイゴールド"の大規模リニューアルのため 皆が心をひとつにしようという大事な時に 社長の自分がこんな状態では 部下に示しがつかない…ということは 重々 わかっていた。
しかし如何せん 力が出ないのだ。
あの日の出来ごとの情報量が多すぎて 今だ大野の中で処理ができていなかった。
目をつぶると 浮かび上がる”松本”の姿…
甘い香りを漂わせながら しっとりとお互いの唇を重ねた記憶。
大野は あれ以来 お気に入りだったシャンプーを使えなくなっていた。
あれは既に ”松本の香り”として インプットしてしまったから。
松本に対するこの思いに どう名前をつけていいのかわからないが いつまでもこのままでいいはずはなかった。
やはり 荒治療をするしかない。
大野は勢いよく立ち上がると 興信所からの松本の資料を持ち出し 二宮がいる秘書室へと向かった。
「…ニノ…頼みがあんだけど…」
珍しく大野が秘書室へ現れた。
しおらしくノックなどして ドアからイタズラをした子供のように顔だけのぞかせている。
また よからぬ事を思いついたのだろうか…
二宮は 一抹の不安を覚えたが 聞けば 松本に会いに行きたいと言うではないか。
二宮には隠してもバレてしまうだろうと こうやって許可をもらいに来たとの事だった。
「会ってどうすんですか。 もう 話はついてるんでしょ？」
少し砕けた話し方をする二宮。
社長と秘書という立場を抜きにすれば 気心の知れた 何でも話せる仲であった。
そんな大野が 二宮に繋がろうともせず この１ヶ月間 一人で悶々と考え込んでいる姿は 見ていて少し寂しい思いがしていた。
多少 傲慢ではあるが あの自信に満ち溢れていた大野を こんな不抜け状態にした”松本潤”という男。
”もはや 敵だな…”
二宮は 会ったことのない松本を恨めしく思った。
それに加えての 彼の過去の情報…
本音を言うと 二宮は彼の起こした暴力沙汰のことより 恋愛対象が 同性であったということに引っかかりを持っていた。
大野の様子を見てると あの日 何かあったのは間違いないのだから。
「…私の 思い過ごしならいいと ずっと思ってましたけど…」
「…なっ…なんだよ…」
「アナタまさか…あの男に 食われたんじゃないでしょうね？」
「…は…?」
”食われた”というワードが 大野にはピンときていないようだ。
二宮は 砕かずストレートに伝えた。
「セッ○スをしたのかって聞いてるんですよ。」
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作者名：hikari | 作成日時：2020年6月6日 4時
