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「遠慮するな。身体を温めた方がよく眠れる。 着替えも 新しい下着もある。歯ブラシも用意しておく あっそのバスタオル使ってくれ」
風呂場に強引に連れ込まれ 松本はその場に立ちつくしていた。
さっきまで目を合わさないなと思っていたら 次の瞬間すごい勢いで絡んでくる。
”情緒不安定なのか…?”
上流階級っていうのは理解に苦しむ。
何だか一気に疲れがやってきたような感覚に任せ 遠慮なくシャワーを使わせてもらうことにした。
一方その頃 大野は一人 この広い部屋でテンパっていた。
人を家に泊めるなんて生まれて初めてのことなので 何をどうおもてなししたらいいのかわからないのだ。
家に着くまでの道中 とにかく緊張して何も喋れなかった。
とりあえず着替えを探さないと…合うサイズがあるだろうか…
大野より幾分背も高いし ガタイもしっかりしている。
小腹は空いていないだろうか。
いや プロの料理人に 何を作れというのだ。
そうこうしているうちに結局 ほとんど何もできないまま時間が過ぎ去ってしまった。
「…お先…サッパリした…」
背後から馴染みのシャンプーの香りが漂った。
松本がシャワーを終え上がってきたようだ。
大野は着替えを掴むと急いで松本の元へ向かった。
「…サイズが合うかわからないが とりあえずウチにあるので一番大きめのを……ウワッ!?!?!?なっなっなんだ!そのカッコは…!?」
「…？……」
松本は 腰にバスタオルを巻いただけの あらわなカッコで大野の前に現れた。
「何って…着るもんないから…」
「こっ…!これ！着替え！これ！早く着ろ！」
目の前のテーブルに松本への着替えを無造作に放り投げる。
大野は真っ赤な顔で目を白黒させながらそのまま キッチンへと逃げ込んでしまった。
体に電気が走ったような衝撃を覚えた。
胸の鼓動がとても早くて 息苦しい。
何とか落ち着こうとそばにあったコップに 蒸留水をバシャバシャと汲むと 乱暴にノドに流し込んだ。
”同性の裸見て 何を興奮しているんだオレは！”
適度に鍛え上げられた松本の身体と 洗いざらしの髪が少し乱れている様が なんとも言えない独特の色気をかもし出していた。
もしかしてオレはヤバいヤツを家にあげてしまったのかもしれないとここでやっと気づく。
人生で初めてウチに泊める相手が”松本潤”であったということは 大野にとってはとてつもなくハードルが高かったようだ。
「…もしかして…オレの裸に興奮しちゃった…とか？」
「…!?」
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作者名：hikari | 作成日時：2020年6月6日 4時
