近くて遠い ページ10
こうして始まった私の戦いの1個目の作戦は、思い切って髪を短くすることだった。
少しでもグクに私のことを見てもらえるように、視界に入れてもらえるように、私のことを気にしてもらえるように。ちょっぴり邪な気持ちも持ちながら、切り落とされた髪の毛を見つめていた。
特に理由はないけれど、小さい頃からずっとキープしてきたロングヘア。初めての肩につかないぐらいの髪の長さにソワソワして落ち着かない。
大学に着くと、友達が、
《髪切ったの？！》
《短いの初めて見た！》
「初めて短くしたの…！笑」
《似合うよー！かわいい！》
真正面から褒めてもらえることが少ないから、お世辞だとしても頬が上がって、幸せな気分になった。
《グクに早く見せてきな！》
そう言われた瞬間、髪を切った本来の目的を思い出して、背筋がピンと張った。
________________
授業が終わり、期待半分、不安半分で帰る約束をしていたグクの所へ向かう。
グクに近づくにつれ、うるさくなる心臓。
「待たせてごめん！帰ろっか」
声をかけると、チラリとこちらを見たものの、すぐに遠くの方を見ながらスタスタと歩いていってしまうグク。その視線の先には、ジアさん。
涙が…出そうだった。
髪を切ったぐらいで浮かれて期待した自分がすごく、すごく恥ずかしくて、惨めだった。
JK 『ジアさん、髪切ったんだね。かわいー。』
私も、なんて言葉は出ずに目頭が熱くなってくる。
でも、グクの言う通り、私と同じぐらい髪を切ったジアさんは、とっても可愛らしかった。
「ほんとだ！かわいい！ジアさんはどんな髪型でも似合うから羨ましいな〜」
声が震えないように、涙が零れ落ちないように、泣きそうなのがバレないように…惨めで必死な自分に気付かれないように。そんな考えで頭が一杯だった。
JK『たしかに。ロングもショートもどっちも似合う』
ジアさんを見つめて優しく微笑むグク。
私はその光景に呆然と立ち尽くしてしまって、気づいたらグクとの間が広がっていた。それが私とグクの心の距離をそのまま表しているようで、胸がギュッと苦しくなり、これ以上広がらないように、グクを小走りで追いかけた。
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sonel(プロフ) - めろんさん» 初出しです…！意図せずどなたかの作品と似てしまっていた場合は申し訳ないです…(T . T) (2021年8月13日 21時) (
レス) id: e14fbab7d1 (このIDを非表示/違反報告)
sonel(プロフ) - 通りすがりのKさん» お返事遅くなってすみません(T . T) 心を込めて読んでくださって嬉しいです(T . T) 続編も出ておりますのでお楽しみください！ (2021年8月13日 21時) (レス) id: e14fbab7d1 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - このお話って前にも出してましたか？ (2021年7月16日 16時) (レス) id: 6374d6be3e (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりのK - これまでに無いくらい号泣しました。何よりも主人公が良い子過ぎて…続編も期待しております。 (2021年7月16日 2時) (レス) id: 60b46b46ac (このIDを非表示/違反報告)
sonel(プロフ) - やっちょこさん» 優しいお言葉嬉しいです(T . T)そして主人公ちゃんを応援してくださってありがとうございます( ´ ▽ ` ) (2021年7月3日 0時) (レス) id: e14fbab7d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sonel | 作成日時：2021年4月3日 18時
