トンネルの先の明かり ページ6
暗い夜道を当てもなくただ走り続けて、どこかもよく分からない公園に辿り着いた。
頬を濡らした涙はすっかり乾いて、悔しくて悲しくて虚しい、そんな重たい気持ちだけが残る。
この感情からも、現実からも逃げたくて、なんとなくブランコに向かう。乗ってみると、こんな状況なのに何故だか楽しく感じて、辛いことも今だけは忘れられたような気がした。だけど、このブランコを止めてしまったら、きっと私はまたグクのことを思い出して泣いてしまうだろう。そう思うと、私はブランコを漕ぐことを辞められなかった。
_________
どれぐらいブランコに乗っていたのだろう。もしかしたらたったの5分だったかもしれないし、30分だったかもしれない。どちらにせよ、私にはとってはとても長い時間だった。ブランコの鎖を掴む手が少し痛くなって来たので、漕ぐのを辞めて、ブランコが自然に減速していくのを待った。
ブランコの振れ幅が小さくなっていくにつれて、現実に近づいているようで気持ちが重くなる。そして、あと2往復ぐらいで止まるだろうと言う時に、ふと、
「カバン、」
カバンを忘れて来てしまったことに気づいた。
その中にはケータイが入っているし、財布も入っている。自分が今いる場所がどこだか分からないのに、調べることもタクシーに乗ることもできない。
ついてない日というのは、とことん運が悪いものだ。もう全部全部、何もかも、嫌になってしまうな。
やるせなさに再び涙が溢れそうになった時、遠くの方から足音が聞こえた。
暗くて静かな公園に響く、砂利を踏みしめて歩く音は、今の私にとっては不吉な予感を感じさせるものでしかなかった。
足音がどんどん近づいて来るけれど、体が震えてしまって動かない。ただただ下を向いて体を縮こまらせることしかできなくて。
街灯に照らされた足音の正体の影は、もう目の前まで伸びて来ている。
怖くて、悲しくて涙が溢れて来て。服の袖で拭おうとすると、フワッと優しい暖かさに包まれる。
JN『A、』
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sonel(プロフ) - めろんさん» 初出しです…！意図せずどなたかの作品と似てしまっていた場合は申し訳ないです…(T . T) (2021年8月13日 21時) (
レス) id: e14fbab7d1 (このIDを非表示/違反報告)
sonel(プロフ) - 通りすがりのKさん» お返事遅くなってすみません(T . T) 心を込めて読んでくださって嬉しいです(T . T) 続編も出ておりますのでお楽しみください！ (2021年8月13日 21時) (レス) id: e14fbab7d1 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - このお話って前にも出してましたか？ (2021年7月16日 16時) (レス) id: 6374d6be3e (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりのK - これまでに無いくらい号泣しました。何よりも主人公が良い子過ぎて…続編も期待しております。 (2021年7月16日 2時) (レス) id: 60b46b46ac (このIDを非表示/違反報告)
sonel(プロフ) - やっちょこさん» 優しいお言葉嬉しいです(T . T)そして主人公ちゃんを応援してくださってありがとうございます( ´ ▽ ` ) (2021年7月3日 0時) (レス) id: e14fbab7d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sonel | 作成日時：2021年4月3日 18時
