白と赤と君 ~JK side~ ページ27
花火大会が終わり、ジアさんやジミニヒョンたちとも別れ、一人で帰路を歩く。
大通りを抜ければ人はほとんどおらず、道には虫の鳴き声だけが響いていた。
花火は、まあ綺麗だった。だけどなんだか…楽しくなかった。ジアさんと話している時も、みんなで焼きそばを食べてる時も、射的をしてる時も、花火を見ている時も、何かが物足りない感じがして。
…いや。原因なんて分かってる。ずっとAのことが気になって何も楽しめなかったんだ。何をしてても、Aは今何をしてるんだろうと考えていた。今までこんなことなんてなかったのに。初めての感情に頭が追いつかない。
ジアさんと一緒にいたのに、Aのことが気になるなんて…どうして急に？初めて断られたから？いや、そんなことでAのことが頭から離れなくなるなんて…と考えていると、遠くに人影が見えた。
ぼんやりと見える、浴衣を着た女の人。あの人も花火大会の帰りだろうか。
近づくにつれて、はっきりと見えて来るその人。白地に赤の牡丹が描かれた綺麗な浴衣を着ていた。どんな人が着ているんだろうと気になって、その人の顔を見た次の瞬間、目を奪われてしまった。
JK『A…？』
俺の声に反応して、こっちをゆっくりと見るその人。やはりその人は間違いなくAだった。そして、とっても、とっても……綺麗だった。
「グク…」
何故か、Aから目を離すことができなかった。俯きがちに俺の名前を口にするA。少し赤らんだ頬。綺麗にセットされた髪の毛。浴衣に似合っているネイル。全てが、綺麗で…可愛かった。
「なんで笑ってるの…？」
とAに言われて、無意識に口角が上がっていたことに気付く。
慌てて口を元に戻して、Aにどうして断ったのか、何があったのか聞こうとAの目を見つめて口を開く。…が、Aの頬にある傷がふと目について、
JK『怪我してる、』
と傷に優しく触れると、頬を隠すようにそっぽを向いて歩き出すA。意味がわからず、Aの手を咄嗟に掴むと、Aは驚いたようにこちらを振り向く。
その目には涙が溜まっていて、今にもこぼれ落ちてしまいそうだった。
JK『え、ちょ、どうしたの』
俺が聞くと、その涙はついに目から溢れて頬に跡を残した。それに気を取られているうちに、Aは俺の手を振り払って、走って行ってしまった。
JK『なんで…』
なんで、泣いてたの。初めて見るAの泣き顔が、脳裏にこびりついて離れなかった。
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sonel(プロフ) - めろんさん» 初出しです…！意図せずどなたかの作品と似てしまっていた場合は申し訳ないです…(T . T) (2021年8月13日 21時) (
レス) id: e14fbab7d1 (このIDを非表示/違反報告)
sonel(プロフ) - 通りすがりのKさん» お返事遅くなってすみません(T . T) 心を込めて読んでくださって嬉しいです(T . T) 続編も出ておりますのでお楽しみください！ (2021年8月13日 21時) (レス) id: e14fbab7d1 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - このお話って前にも出してましたか？ (2021年7月16日 16時) (レス) id: 6374d6be3e (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりのK - これまでに無いくらい号泣しました。何よりも主人公が良い子過ぎて…続編も期待しております。 (2021年7月16日 2時) (レス) id: 60b46b46ac (このIDを非表示/違反報告)
sonel(プロフ) - やっちょこさん» 優しいお言葉嬉しいです(T . T)そして主人公ちゃんを応援してくださってありがとうございます( ´ ▽ ` ) (2021年7月3日 0時) (レス) id: e14fbab7d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sonel | 作成日時：2021年4月3日 18時
